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「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 ・
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6カ国協議、戦いはこれから!――「孤立」でけっこうだ、ツッパれ!
2007年 02月 14日
簡単に、北朝鮮の核問題をめぐる、今回の6カ国協議について――。
結論を先に書けば、今回、合意が採択されたけれど、 それは文字通り、途中経過に過ぎない、と考える。 ●日本;強硬路線を変えられるはずがない 日本は当初のエネルギー支援に不参加を表明、 孤立しているとの見方もあるが、動揺などまったくする必要なし。 たしかに、各国の支援が本格化すれば立場は苦しくなりそうだが、 それを逆手に、北朝鮮を追い込むしかなさそう。 なお、国内では統一地方選挙、参議院選挙が迫っており、 支持率下落の続いている安倍政権は、政治情勢をにらみんでも、 北朝鮮問題で柔軟路線に転じることなどできない。 ●米国;今回の合意でも「堀」は埋まる、と考えた? 米国は強硬路線を転じたが、今回の合意では布石を打った――と見る。 相手を調べないことには、いざというときに備えられない。 また、手数を封じられるだけ封じておくのは、歴史の教訓であり、定石。 つまり、不測の事態にも備え、埋めることのできる「堀」は 埋めておくほうがいいに決まっている。 北朝鮮は今回の合意に、ほぼ一方的に勝利したかに見えるが、 だからと言って、無傷ではなかった。 まず、核開発の拠点、寧辺(ニョンビョン)を稼動停止にすると約束した。 だが、それ以上に、これで、各国が大義名分をもって、 北朝鮮国内を調べることができることになった。 これからしばらく、そのあたりに着眼してみたいと思った。 ※※ ●北朝鮮;初日に沈黙、そして協議を振り回し続けた 協議では、やはり今回も、終始、北朝鮮に振り回された。 初日、北朝鮮代表の金桂冠(キムケグァン)外務次官は、 自分からは何も発言せず、他の5カ国の話を聞くばかりだった、という。 事前には、報道陣にもみくちゃにされながら、こんなおしゃべりもしていた。 「米国は何をすればよいかわかっているはずだ」――。 しかし、協議が始まると、貝になった。 第2日、一転、金次官が口を開いた。――寧辺の 核施設凍結には応じる、そのかわり、重油200万トン、寄こせ。 さらに米国は金融制裁を解除せよ、テロ支援国家のリストからはずせ、と。 他の5カ国が法外な要求に怒り、あきれもした。 北朝鮮は、かなり正確に、各国の情勢をつかんでいるように思われる。 命がけで「外交戦」を仕掛けているふうだ。 それからけんけんがくがくが始まり、 5日目、たぶん、頃合とでも見たのだろう、 突然、それまでの要求を引き下げ、核放棄の段階に応じて、 100万トンまでの重油を受け取ることで折り合ってきた。 結局、協議には6日間を費やした。 ※※ ●ブッシュ政権;「悪の枢軸」と言い切ったころがなつかしい まがいなりにも、今回、合意文書が採択されたのは、 すでに、そうした分析が大勢とは思うが、 やはり米国の政策転換が大きいには大きかった。 米政権、ブッシュ大統領やライス国務長官らは、 少なくとも昨年夏の中間選挙前までは、 北朝鮮に一切の見返りを与えない――と強気いっぺんとうだった。 それが、今回の協議、合意文書では180度、 姿勢を変えたように見える。 北朝鮮を「悪の枢軸」と、威勢良く、 切って捨てていたころが、ちょっとなつかしい。 ※※ ●安部政権;米国の変化に水面下で動く 日本政府は、事前に、米国の政策転換を嗅ぎ取り、 焦っていたに違いない。 だから、今回の6カ国協議では、ホンネ、決裂したほうがよいと 思っていたかもしれない。その可能性は大きいはず。 しかし、米朝がベルリンで事前折衝した内容が伝わり、 今回の協議は、日本をのぞく各国の事情からも、 決裂しそうにないこと、北朝鮮への見返りとして エネルギー支援などが約束されそうなことを読んでもいたはず。 ●山崎訪朝;個人プレーとだけ見ていいのだろうか? 話はわき道にそれるけれど、 年明け、自民党の元副総裁、山崎拓氏が北朝鮮を訪問、 金総書記側近と面談したとのニュースがあった。 多くの報道が、山崎氏の個人的な行動として片付けていたし、 事実、政府は関与していないとして不快感も示した。 しかし、いくら北朝鮮からお招きがあったとしても、 こんな時期に、完全な個人行動など取り得ないはず。 山崎氏は派閥の領袖ながら、現政権への影響力は ほとんどなさそうにも見えるのだけれど、 帰国後、訪朝の内容を「小泉前首相にも報告するつもり」と語ったように、 なにがしかの、裏舞台の動きが働いていた、と見るほうが順当。 その山崎氏からも、拉致問題にかかわる事項を含め、 当面の動きについての“予測”は、政府にも伝えられていたはず。 また、6カ国協議の最中には、額賀福志郎元防衛庁長官が中国入りしており、 6カ国協議の議長、武大偉中国外務次官と会談している。 これもまた、状況的には政府の「密使」とみて間違いない。 ことほどさように、日本政府は、水面下で激しく動いていた。 ●危機管理;当初の支援不参加だけは各国に呑ませた 日本政府は、合意が採択されることを前提に水面下で動き、 拉致問題についての進展がなければ、当初は 見返り措置、エネルギー支援に参加できないことを、 中国、ロシア、韓国、そして米国に呑ませる形を、つくるにはつくれた。 そのために、先々で負担を強いられるかもしれないが……。 統一地方選、参院選が刻一刻と近づいているなかで、 安倍内閣の支持率下落が続いている。 柳沢厚労相の失言が響いているのだろうけれど、 なにか政権発足から、明るさがない。 こうした国内の政情勢も、ひとつの拘束要因となり、 安倍政権は各国の支援措置に引き込まれて、 拉致問題をなおざりにしたとの批判を受けないよう、 必死にあがいたのかもしれない。 ●佐々江氏;外交官のポーカーフェイス なお、現在の6カ国協議、日本政府の首席代表、 佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は、いつも発言が慎重で、 感情をうまく隠しているような印象がある。 実に冷静そうで、けっこう、いいのじゃないか、と思える。 ※※ ●寧辺;稼動停止へ――、しかしそのあとは? これから北朝鮮がどう動くのか――。 たぶん、寧辺(ニョンビョン)の核施設の稼動停止は 織り込み済みだったわけだから、それは実行に移してくるに違いない。 IAEAの査察も受け入れるに違いない。 それで、当面は事態を先送りできるし、 当座のエネルギーも手に入れることができそうだ、と、 考えているのではないか。 勝手に核施設をつくり、成功だったかそうでなかったかはともかく、 核実験の実施を宣言し、ついでに、ポチャンとだけれどミサイルも発射した。 そして、やめろと言われれば、やめてもよいがカネを寄こせ――という。 他の5カ国の足元を見透かしての恫喝だった。 ※※ ●勝利か敗北か?――仕掛けがするりと滑り込んでいる? 今回の合意は、北朝鮮の側の外交的な勝利。 しかし、勝ちと思ったところからほころびが生じたりするもの。 今回の合意を受けて、とりわけ米国と日本は、 北朝鮮のなかへもぐりこもうとしている。 麻生外相がテレビで話し、安倍首相も同様のことを国会で答弁した。 「日本は(今回のエネルギー支援に)間接的であれば協力できる。 たとえば、調査に参加することなどはできる」 迫力のまったくない、その場をとりつくろっているだけの発言にも聞こえるが、 ひょっとすると、けっこうホンキで、エネルギー支援に関わる調査を大義名分に、 堂々と北朝鮮国内に入りこもうとしていたりしないだろうか、、、。 また、日朝国交正常化についての作業部会も設けられるが、 そこで、どのように巻き返していくか――、そこでは、 他の4カ国は入ってこないわけだから、文字通り、 日本の自己責任でやり合うことになる。 そこに、日本政府が神経を集中しようとしていると、期待したい。 ※※ ●しばらくは孤立に耐え、ツッパるしかない! 国会でも、日本は孤立しているのではないか――などと、 野党側から質問があった。孤立、と言えば孤立なのだろうけれど、 この程度の情勢の変化で、やれ孤立だなんだと、騒ぐほうがおかしい。 もし日本が、他国の柔軟路線に、個々で諸手をあげて賛成し、 転じたら、ほんとうに、拉致問題は置き去りになる。 それは、国、国民の精神的な自殺にも等しくなる。 そもそも、政治の場では情勢に変化はつきもの。 そのときどきの情勢を、いかにプラスに転じていくかに、 知恵と体力を使うほうがよいに、決まっている。 日本は孤立をむしろ逆手に取って、 各国を拉致問題に巻き込んでいけばよいし、 振り回していけばよい。 少なくとも、今回の合意に盛り込まれた、 日朝の分科会は使える、と考えたい。 また、韓国には日本の数倍(600人以上とも)の 拉致被害者がいると言われている。 日本は動いて、動きのなかで、北朝鮮に迫る火の手を、 大きくしていったらよいだけなのだ。 ◇◆ 最後に、資料として外務省HP、6カ国協議の概要と合意文書にリンクを張りたい。 ・第5回六者会合第3セッションの概要(外務省) ・共同声明の実施のための初期段階の措置(外務省) 今回の合意では、まず、北朝鮮は寧辺(ミョンビョン)の核施設停止や 国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れなどを60日以内に実行すれば、 見返りとして、重油5万トンか同額の経済支援を受ける――ことが盛り込まれた。 さらに、北朝鮮側が保有するプルトニウムの完全放棄など、 核計画放棄に向けた措置を実行していけば、 その段階に応じて、最大重油95万トンかそれに相当する支援を 受け取ることができるとされた。 合意は2005年9月19日の、第4回6カ国協議における 共同声明を実施するための初期段階の措置と位置づけられた。 ※当ブログ関連記事(2月15日) → 6カ国協議;ロシア、支援不参加を表明。――自分勝手な国だ。。。 ★★よろしければ、今日もクリックを!→人気Blogランキング (↑15日15:27、66位です。……ふう。なかなか上、いかないなあ。でも、仕方ないや。。)
by yodaway2
| 2007-02-14 15:34
| 北朝鮮問題、どうする
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