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「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 ・
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激闘!日朝会談;なぜ、30分も早く打ち切られたか――。
2004年 05月 27日
再び、長文にて失礼!お時間があれば、以下にどうぞ。
お時間がなければ、見出しのみ、どうぞ。 今回の日朝首脳会談について、詳細を伝える記事が探せない。 しかし、断片的ながらもいくつかの、生の言葉の端々が伝わるにつれ、 いま、一般的に理解されているのと、少し違う見方ができるのではないか――と、 そうも考えるようになってきた。 ●評価割れる会談の成果だが…… 先の会談は評価できるかどうか――、この点について意見が割れている。 識者、マスコミには厳しい見方が多いように思うがどうだろうか。 家族会も世論の受け止め方とのギャップにとまどい、 つとめて冷静さを取り戻そうとはしているが、基本的には 厳しい評価を変えていない。それはもっともなことであるのだけれど……。 注目したいのは、会談が予定の2時間よりも30分も早く終了した点である。 終了――というより、それは、打ち切りだった。 金正日総書記の方から一方的に打ち切ろうとし、 事実は、首相が「ちょっと待ってほしい」と引きとめようとしたにもかかわらず、 それを振り切って席を立ってしまったのだ。 これは前回のトピックのとおり、下記、夕刊フジに伝えられている。 http://www.zakzak.co.jp/top/2004_05/t2004052520.html また、首相の「ちょっと待ってほしい」は、サイトには掲載されていないと思うが、 日経本紙・26日付に載っていた。 ※※ ●なぜ、30分も早く打ち切りになったのか? なぜ、金総書記は話を、突然、打ち切ろうとしたのか――? 会談の成果に対する評価は割れているものの、 いま現在、会談は、どうも北朝鮮の一方的なペースで 進められてしまったのではないか――と、 多くの方が、そう受け取っているのではないか。 そして、コイズミ首相は、結局、30分も早く会談が終了したなかで、 言うべきことも言わずに帰ってきてしまった、と。 ところが、会談内容を落ち着いて検証してみると、 意外にも……、会談では金総書記が終始、コイズミ首相に押され、 むしろ、答えに窮した点までみてとれるのだ。 少なくとも両首脳は、激しく切り結んだ。 そして攻勢だったのは、実はコイズミの方だったかもしれない。 そして最後、危ういところで、…………こらえきれず、金は席を蹴って立った。 ●あいさつなどどうでもいい――と、コイズミ 会談のはじまり――。金総書記が「ご健康はいかがですか」と”社交辞令”。 コイズミ「おかげさまで」と、ただひと言。 コイズミは、すでに、ただならぬ雰囲気でいた。 金総書記「前回の訪問以降、いろいろ複雑な問題(拉致の問題)が 生じてしまったようで……」。これは要するに、拉致問題のことを指し、 日本の首相の指導力のなさを責めた――と、テレビで識者が解説していた。 そうなのだろう、これは。 たしか首相はこれに反応せず、用意された挨拶を済ませると、 すぐさま、本題を切り出すそぶりを見せた。 テレビカメラはそこで、会場の外に押しやられた。 まずここまで。コイズミ首相は金総書記が振ってきた”社交辞令”にも、 ほとんど反応らしい反応を見せず、公式の挨拶を済ませるや否や、 いきなり、帯刀を抜き放った。 ●北朝鮮には、もともと避けたい話題ばかり 報道された情報を、記憶のなかでたどりつつ、再構成する。 この日、会談で話題とされたのは、拉致問題――8人の帰国問題、 10人の安否不明者の消息、特定失踪者の問題、核開発問題、ミサイル問題、 それに伴う米国の意思の伝達、そして日朝国交正常化交渉、人道支援の問題。 最後の2つをのぞいて、いずれも北朝鮮の立場に立てば、 終わりにしたはずの話、余計な話、日本の首相などと再びしたくない話――の いずれかなのである。 少なくとも……、いずれも金総書記から持ち出したい話ではなかった。 会談は、実は金総書記が守勢に立たざるを得ない状況が、 最初から仕組まれつつあった。 これが、実はいま、見落とされている今回の日朝会談の、 ベースラインではないかと思う。 ●金/まさか、ほんとうに再会談を仕掛けてくるとは…… つまり……、今回の会談は、金総書記からすれば嫌だったのだが、 事の成り行きと読み違いもあって、ついに、 無理やり引っ張りだされてしまった――という面があるのではないか。 たしかに、日本人の家族は負担になっていた。 そのせいもあってだろう、米国はテロ支援国家として白書に明記している。 これは日本、そしてOECD、あるいは各国からの 経済支援を受ける環境を傷つける。 それゆえ、外交当局には一時帰国させた日本人を、一度、共和国に戻せ、 それができないなら、首相が迎えに来い――そう言え、と指示もした。 しかし、首相が迎えに来い――と言っても、そう簡単に日本は応じてくるまい。 ……と思いつつ、その一方で、あの男――コイズミであれば、 外交慣例がどうあろうと、やりかねないかもしれない、そうも考えられた。 それが……いま現実に、コイズミはこうして、目の前に再び現れた。 裏では中国からも応じよ――との話もあって、 またもや、ついに、コイズミを迎えるはめになったと言ってもいい。 金総書記はいつものカーキ色のジャンパー姿を変えることもなく、 テレビカメラに腹をぐいと突き出し、威厳を保ってみせてはいたが…… 会談ではむしろ一方的に守勢に立たされ、何度か唾を飲み込むことになった。 ※※ ●再び切り結ぶ、コイズミVS金―― 会談の経過を、そして双方のホンネを、架空の会話に託して再現してみた。 <コイズミ>拉致した家族全員を帰国させたい。 <金>家族の帰国……これは、すでに準備しているので、どうぞ。 ただし決まっているのは5人です。今夕、いっしょにお帰りください。 でもジェンキンス氏と2人の子供はそうもいかない。 本人が嫌がっているのだから。この会場に呼んであるから、あとで、 自分で説得でもなんでもしてみればいい。お手並み拝見だ。 ここまでは、たしかに金のペース。 コイズミ首相のもとには、直前、ジェンキンス氏のことが障害となる情報が 届いていたが、まさか自分で説得するハメになるなどとは、 最終的に考えていなかった。 ここまでは金が攻めた。コイズミも、一瞬、足をすくわれそうになった。 が、すぐに態勢を立て直し、ひと太刀を浴びせる。 <コイズミ>10人はどうなった。前回の調査はデタラメもいいところじゃないか。 <金>10人の話……それは、もう済んだ話でしょう。 <コイズミ>ふざける、全然終わっていない。いいか…… <金>だいたいだ、前回の会談のあとの貴国国民の非友好的な態度には、 正直、失望した。あなたに指導力がないからだ。 <コイズミ>家族は生存を信じている。きちんとした情報、出せよ。 それに特定失踪者の問題だってある。(一部、この問題に首相は ふれなかったとする報道があったが、事実は違うようだ) <金>うるさいヤツだ。……そんなに言うなら仕方ない。白紙に戻して 調査をやり直すよう、指示する。結果も早く知らせる。それなら、いいんだろう。 コイズミはまなじりを決して、そして鋭く迫った――。 金は気押され、「白紙に戻そう」――と、余計なひと言まで、 思わず口にしてしまった。あげくに「できるだけ早く報告する」と、なびいてみせた。 金は瞬間、後悔し、あっ、と小さく、自己嫌悪の感情を抱いたほど。 コイズミは……これが帰国して家族会から非難を浴びてしまうのだが、 「白紙に戻す」「再調査する」の言質を取れたことで、 まずこの問題では、ひとつの利を得たと判断した。 そしてジェンキンス氏のことを、どう切り返そうかと考えつつ、 一旦、話題を核開発問題に振る。 ●金/言質を取られ、じりじりと後退りする これもまた、金には、正面切って攻められると重圧のかかる問題だ。 米国が先制攻撃を言う以上、完全放棄はできない。 どうしてもと言うなら、朝鮮半島全体の非核化を考えるべきだ。 それを前提に凍結してもよいし、そうなれば検証も必要だろう――。 そう言ったあと、またも、余計なことを口にしてしまったと思った。 外交官レベルで、誰ががどう話したって、そんなのはいくらでもひっくり返せる。 だが、金が自分でそれを口にすれば、その後の選択肢は、明らかに狭まる。 第一、金の言葉には、何よりも中国が目を光らせている。 これまでの交渉の場でも、たしかに凍結、検証の話は出た。 でも、何も自分から言い出さなくてもよかったかもしれない。 ここでも、コイズミにやられた。 コイズミは米国が後ろ盾になっていることを、露骨に示してきた。 コイズミは米国からの要求まで携えてきて、それをテーブルの上に広げやがった。 金はここで言い返す。「貴国の同盟国の態度が大事なんだ」――と。 そうは言ったが、結局、「検証は当然のこと」などと言ったことの方が重く、 それが、コイズミの口を通して米国に伝えられることになる。 ヤツに得点を与えているのではないか……また、ちょっと嫌な気持ちになる。 コイズミは核ミサイルについても迫ってきた。 たびたび試射する態度はなんだ――と。 それには「日本を標的にしたものではない。標的は米国だ……」と言ってしまった。 あっ、と思った。米国……なんて、具体的な国名を言うんじゃなかった。 ミスだったかもしれない。 ●コイズミ/まだ時間はある、ここでもう一度、ジェンキンス氏だ コイズミはここまできて、日朝国交正常化交渉の再開、 そして人道支援を口にする。さらに……これもコイズミが批判される点だが、 制裁法案の発動についての制約を、自分から口にする。 コイズミはこの次にジェンキンス氏問題に戻ろうとした。 アメ玉を並べたのは、目に見える成果として最優先していた、 「8人」の帰国――5人ではなく8人の帰国を、いまこの場で決めるために。 金は正直、嫌な気持ちが募りはじめていた。 どうも出口が確証もできないのに、少し簡単に、いろいろ 言質を与えすぎてしまったのではないか……。 10人の再調査、凍結と検証……、ミサイルの標的……、 どうも嫌だ。今日の話の展開は、いったいなんだ。 人道支援はすでに東京から報告のあったことだし、予定通りのこと。 日朝国交正常化、これはもともと2年前に約束済みのこと。 家族5人の帰国はせっかく来たのだから、これはまあ、どうぞごいっしょに。 ジェンキンス氏はどうするのか、お手並み拝見。 ――だったのだが、10人を白紙で再調査、しかもできるだけ早く報告する、 なんて言い過ぎたかもしれない。 考えてみれば、核の問題も、もともと米国との2国間の問題であって、 6カ国の問題などでなかったはずだ。少なくとも 日本が割り込んでくる問題ではなかったのだ。 それに、実は中国、ロシアはわが国の方針に、ホンネでは全く反対していない。 それをなんで、日本の首相に約束めいたことを言ってしまったのか。 このままだと、この会談……これでは、このままでは 共和国の最高指導者としての、シメシがつかなくなる。 <コイズミ>ところで、さっきのジェンキンス氏の件だが……。 <金>そのことはもう言った。ひと通り話は済んだろう。もうこれで終わりにしたい。 <コイズミ>ちょっと待ってほしい。まだ話は終わっていない。 時間も30分あるじゃないか……。 <金>いや、済んだ。ジェンキンス氏については、直接話し合ってほしい。 話し合う時間も必要でしょう。 通訳がコイズミの言葉を伝える一瞬のスキをつくようにして、 金はコイズミの言葉を振り払い、席を立とうとする。 「逃げるのかッ!」――そう、コイズミは声を発したかったのだが…… ●逃げるか!金――、コイズミの空を斬る太刀 ここで、最後、コイズミはこらえてしまったのだ。 已む無し。このうえは……家族8人をなんとしても連れ帰らねばならない。 この男――金と話し合うより、もはや、ジェンキンス氏を説得しよう。 それがコイズミの、この瞬間の決断であった。 金は金で不快であった。 形としては経済力世界第2位の日本の首相を、2度まで呼びつけた。 しかし、それで得たものは25万トンの食料と1000万ドルの医薬品――。 あとは何もないじゃないか…………。なのにこのバカ騒ぎはなんだ。 それに何かどうも、首筋にヒヤリとしたものを感じる。 日本の首相が来なければ、家族は帰さない――、そんなことを 外交当局に言わせたが、考えてみれば、余計なことだったかもしれない。 この男と会わないほうが、ひょっとするとよかったのかもしれない――と。 ※※ 金が席を立った瞬間…………コイズミの太刀が、空を斬った。 ※※ コイズミ首相は訪朝の成果について、各種の世論調査では、 思ったよりもずっと良い数字に迎えられている。 しかし、その一方で家族会の反発に遭い、そして識者からは 「外交的敗北」――との言葉も浴びせられている。 あの国は――、私たちの常識からはずれた行動を取る国だ。 日本は、それでも、外交的努力によってしか、 生じた問題(拉致は侵攻だが)の解決を考えるより他はない。 そもそもの会談内容を、もう少し落ち着いて検証すべきだとは思うが、 仮に負けた部分があっても、生かせる部分は生かし、 したたかに、そして気迫を込めて、かの国を追い詰めていく以外には ないのかもしれない。
by yodaway2
| 2004-05-27 15:06
| 北朝鮮問題、どうする
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