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週刊!Tomorrow's Way
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テーマはその日の出来事、ニュースから。あと50年経てば、いまの時代、どう語られているのだろうか。

by yodaway2
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「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 
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福岡一家殺害。中国人留学生、極刑に。……人はなぜ転落するのか?
昨日、判決の下った福岡県、一家殺害事件について。
3人の犯人のうち、ただ一人、日本で逮捕された魏巍被告(25歳)は、
この日、生命で償わせるのが相当――として、極刑を言い渡された。
・共同→中国人元留学生に死刑 福岡一家4人殺害事件(05月19日 18時43分)

                    ※※

●事件の概要。ベンツに乗っている……と、狙った。

ざっと、事件を振り返ってみる。

事件は2003年6月20日午前0時過ぎ、福岡県福岡市東区で起きた。
中国人留学生3人が、衣料品関係の会社を経営する
松本真二郎さん(当時41歳)宅に押し入り、松本さんと妻千加さん(同40歳)、
長男海君(同11歳)、長女ひなちゃん(同8歳)の一家4人を殺害、
現金約3万7000円などを強奪して、博多湾に投げ込んだ。

事件の動機は金銭目当て。
松本さんがベンツに乗り、一戸建てに住んでいたことから裕福と考えての犯行。

松本さんは投げ込まれたときには、まだ、息があった。
松本さんと3人の遺体には、手錠と重りを付けられていた。

事件後、犯人のうち2人が帰国――。
2人は中国当局に逮捕され、中国における裁判で
主犯格とされる楊寧被告(25歳)は死刑判決を受け、控訴中。
共犯の王亮被告(23歳)は事件解明に協力したことで減刑があり、無期懲役となった。

魏被告は同年8月に、日本で別件で逮捕された。
魏被告はこのほか、中国人に対する強盗、盗みなども繰り返していた。

                    ※※

●判決のあとに祖父の漏らした言葉……。「まだ若いのに」。

判決のあと、被害者、千加さんの父、2人の孫のおじいちゃんは、
犯人たちを激しく憎み、死刑の判決に安堵しつつ、次のような言葉も漏らしたという。

「死刑判決で片方の肩の荷は下ろせたけどね。悲しみは死ぬまで消えん。
……まだ若いのに。どうせ4人は帰らんなら無罪にしてやっていいかとも思った。
矛盾するけど、彼にも親兄弟がおる。親が子を思う気持ちは同じやけんね」
・毎日→「福岡一家殺害 中国人元専門学校生・魏被告に死刑判決」(5月20日10時8分)

                    ※※

●貧しい地区出身の楊、王被告。優等生だった魏被告……。

「……まだ若いのに」の、祖父の言葉に魏被告の写真を見た。
日本でも、ごく普通に街を歩いていそうな青年――。
真面目そうにも見えるほど。

犯人3人のうち、中国に帰国、逃亡を企てた楊、王の2人は、
中国北東部、吉林省の出身。2人の実家は同省長春市中心部近くの住宅街らしく、
そこは舗装もされていない道に、レンガ積みの平屋の並ぶ貧しい地区。

日本行きに夢をかけて、親戚などからお金を借りて渡航してくる留学生も多いというが、
2人も、たぶん、そんなだったろう。

2人は日本で共同生活をしていたが、生活は苦しく、アルバイトでも思うように稼げず、
学業もうまくゆかず、夢とはほど遠い、八方ふさがりの日々を過ごしていた。 

魏被告は南部、河南省の出身――。
ふつう、中国人留学生たちは出身地を強く意識し、同郷同士で固まるというが、
3人はネットカフェで知り合い、出身地の垣根を越えて付き合い出した。

                    ※※

●2度目の受験失敗……、泥沼。

魏被告の実家は宝石加工工場を経営とのこと。
両親と弟の4人家族、成績は小学生のころからトップクラスで、優等生。
中国の大学を中退し、貿易商を夢見て、日本へ。
日本で語学学校に通いながら、大学進学を目指していた。

――が、大学受験に2度、失敗。
生活苦、夢と現実の激しい落差、自暴自棄……と、転落が始まる。

語学学校のなかでの窃盗、携帯電話の詐取、同じ中国人留学生を狙った強盗……。
泥沼、あり地獄のなかにはまってしまった。

                    ※※

●裁判長。犯行動機に酌むべき事情なし――と断罪。

魏被告の弁護士は、公判において同被告が主犯ではなかったなどとして、
情状酌量を求めたとのことだが、中国側での裁判によれば、魏被告の方が、
むしろ殺害には積極的な役割を果たしたともされている。

裁判長は厳しく断罪した。

>被告らは犯行手順を決めた上で、犯行に使う手錠、ナイフなどを準備している。
>計画通り松本千加、海、ひなおよび真二郎を次々と殺害しただけでなく、
>犯行の発覚を防ぐため窓などに付いた指紋をふき取ったりしている。
>用意周到に謀議と準備を重ねた末に敢行された、高度に計画的な犯行といえる。

>被告らは松本方に侵入してわずか30分の間に千加と海を殺害、
>真二郎が帰宅して1時間もたたない間にひなを殺害するとともに、
>真二郎に瀕死(ひんし)の重傷を負わせ、その後の1時間で
>4人を箱崎ふ頭から海中に遺棄している。
>金銭のためには、人の生命であっても平然と、いとも簡単に奪って
>良心の呵責(かしゃく)さえ感じない冷酷非情さが見て取れる。
>卑劣でずる賢く、残忍で、血の通った人間らしさや人の尊厳に対する
>畏敬(いけい)の念は全く感じられない。犯行は誠に残虐で悪質と言うほかない。

>被告は、王亮、楊寧から事件に誘われた際、学費などを
>自ら調達する方法がなかったことに加え、王亮から「少なくとも一人100万円にはなる。
>何百万円になるかもしれない」と言われ、誘いに応じたもので、
>犯行動機に酌むべき事情はない。
(以上、判決要旨から。)

                    ※※

魏被告が犯行後、手にしたお金は、わずか1万円だった。

                    ※※

●理想と現実の乖離……。狂ってしまった生き方。

被害者の無念は極まりなし。
それを十分にわきまえての話として、犯人たちもまた、
本来であれば、望みたくはない人生の結末を迎えてしまった。

夢、理想を描き、うまくやりたい、儲けたい、金持ちになりたい、
人よりも楽をしたい、豊かにくらしたい……。
人は少なからず、そう願うのに、必ずしもそうはいかない。

それにこらえて生きるのが、普通なはず――。
これは、国が異なっても、民族が違っても、時代が変わっても、
同じではないのだろうか。

転落した中国人留学生たちの人生は、反面、人間の、生き方に
共通する危うさがこぼれ、転がってしまったもの――などと、ふと考えた。

                    ※※

末筆に、幼い2人を含めた被害者のご冥福を祈りたいと思う。



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※情報ソースにはニュースサイトのほか、河北新報KD(データベース)を使用しています。
by yodaway2 | 2005-05-20 14:23 | 社会の問題、世相さまざま