週刊!Tomorrow's Way
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テーマはその日の出来事、ニュースから。あと50年経てば、いまの時代、どう語られているのだろうか。
メッセージ
「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 
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<   2004年 11月 ( 34 )   > この月の画像一覧
中山大臣、黙ってお直しになったら良いのに。
中山文部科学相が歴史教科書について「極めて自虐的で、やっと最近、
いわゆる従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは
本当に良かった」(朝日)と述べたとされるニュースについて、ひと言だけ。

発言そのものを伝える報道としては、朝日新聞(サイト)しか探せなかった。
そのあとの、細田官房長官が「問題視しない」とコメントしたとの記事は、
各紙、各サイトにて読める。
・アサヒ・コム→http://qrl.jp/?145115

中山文科相の発言は、さっそく韓国メディアにおいて、
さらに変化した形になって報道されている。
・東亜日報→http://qrl.jp/?149068

                    ※※

従軍慰安婦問題、強制連行問題について、実態との乖離は否定できなさそうだし、
いまだに、こうした記述が教科書に載っているとすれば、
それは「自虐史観」だ――との意見にもうなずかざるを得ない。

そもそも、タウンミーティングにおける中山文科相の発言についても、
記事からは前後がよく把握できない。別に中山氏を弁護したいとも思わないが、
まさか、このことだけを言いたかったのではないだろうと思う。

だいいち、記事で把握できる部分についてだけでも、
「どの国の歴史にも光と影はある。悪かったことは反省しないといけないが、
すべて悪かったという自虐史観にたって教育だけはしてはいけない」などと、
「悪かったことは反省しないと……」との前置き(後置き?)も付いている。
少なくとも、従軍慰安婦や強制連行について、真っ向から歴史論議を
吹っかけているわけではなさそうだ。

                    ※※

と、以上の感想に付け加えてなのだけれど、
発言には、どうかご注意を――。そう、お願いしたくなった。

関係国において、こうした発言は決まって波紋を及ぼす。
歴史を自虐的になど、私も見たくないけれど、
だからと言って、心の中に去来するままに、あけすけに言ってはならない。
相手となる方々の受け取り方に思いをはせることは、絶対に必要だ。

私には、そもそも、なぜこの問題を政治家が議連までつくり、
大声出してアピールしたがるのかわからない。

教科書に問題部分があると思えば、
音もなく、殺気を潜めて……、スッと背後から近づき、
黙ってバッサリと、それをお直しになったらよいのではないか。

いちいち、待ってましたとばかりの、非難の矢面に立つこともないだろうに。

                    ※※

中山大臣の経歴を読み直してみると、東大を卒業し、大蔵省に入省。
夫人の中山恭子前内閣参与とは学生時代に恋愛。空手四段。
世銀などにも出向経験があり、文武両道のエリートさんだなあ……と思いたいのだが、
これまでのところ、あべこべに知略に欠けた人物に見えて仕方がない。

                    ※※

今回の三位一体改革における義務教育の国庫補助の問題――。
実は私は削減反対の気持ちを持っている。

義務教育のレベルは、まさに国家戦略として
取り組んで然るべきテーマではないかと考えるからだ。

しかし担当大臣が、これじゃあ………。



※やば。ホンネをあけすけに、去来するままに書いちゃったかナ?
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by yodaway2 | 2004-11-29 22:07 | 風雲急!政局と選挙
サンデープロジェクト、中国経済特集を見て。
午前中、サンデープロジェクトを見ていた。
経済ジャーナリスト、財部誠一氏がレポートした
「中国シリーズ、中国マネーが日本を元気づける!」に刺激を受けた。

今日の放送の、財部氏のレポートの主旨は中国の国、経済と
結びつきを強めつつある日本企業、自治体を実際に取材して、
中国をただ「脅威」とだけ見ていて良いのかどうかを問いかけるものだった。

つまり、「中国脅威論」が根強いなかで、財部氏は中国、とくに
中国の経済パワー、市場をチャンスと見るべきだ――と言いたいのだと受け取った。

                    ※※

●中国は「脅威」か「チャンス」か――。

先に、私自身の立場を示した方が、誤解を招かないで済むかもしれない。
私は中国が日本にとって「脅威」であることは否定できないと考えている。
いまの中国経済の過熱ぶりをバブルとして危ぶむ見方も知っている。
中国経済の国内における格差については、過去のエントリーでも取り上げた。

しかし、一方で「虎穴」に入って、ときに中国を抑制し、
ときに自らの機会に結びつけることは、当然にして必要だと理解する。

日本からも、中国からも、実は、両国は相互に付き合いづらい関係だ。
日本からすれば中国は脅威。中国からしても日本は
太平洋への行く手を阻んでいる要塞のよう……。
(中曽根氏はかつて「不沈空母」と発言し、問題になった。)

しかし、どちらからしても付き合わないわけにはいかない。
ならば、領土問題、資源開発問題を抱えつつも、
相互に利益となる付き合い方を考えるしかない――と、
いま現在は考えている。

                    ※※

●自治体が生き残りをかけて進める、中国企業の誘致戦略。

それにしても財部氏のレポートには、改めて驚いた。
中国の熱気に、そして政治の冷めたままの雰囲気とは別に、
企業レベルで、自治体レベルで結びつきが強まっていることに。

番組に出てきたのが福岡市の例――。
福岡市は中国企業を誘致しようと、福岡―上海を27時間で結ぶ
高速貨物船の就航を後押しして実現させたりもしている。
市の担当部には18人の職員・スタッフがいて、そのうち4人が中国語を話せる。

そうした市の体制づくりに応じて、実際に中国企業が視察に訪れ、
かつ進出もしてきている。

そもそも、中国における経済発展の象徴ともなっている上海には、
いま現在で18もの自治体が現地事務所を開き、誘致にしのぎを削っている。

神戸市も同様。神戸市は阪神大震災のあと、
多くの国内有力企業が去ってしまったなかで、
都市の生き残りをかけて、中国企業の誘致を仕掛けた。

神戸市への進出を決めた中国人社長が、
仲間の社長たちとの会食の場で、らんとした目つきで話した。
「神戸市は私を応援してくれていますよ」
同席している社長も応じる。
「よし、儲けよう!」「いっしょにやろう!」
「私が成功したら、日本へ来てください」

いまの中国にあって、ビジネスはまさに”即断即決”なのだという。

                    ※※

●人生は一度限り、日本に賭ける――と、中国人ビジネスマン。

経営難に苦しむ日本の製造業に対して、
買収を仕掛ける中国人ビジネスマンが話した。
「人生は一度限り。あれもこれもできない。
だから私は国は日本、業種は製造業サービスと決めて、
この先、30年、40年やることにした」――。

なんということだろう、多くの日本人が、日本の行方に不安を抱き、
製造業の地盤沈下を嘆いているだけだというのに、
この、まったく逆転している視点、視線は――!

日本人は、まるで自分たちの価値がわかっていない――とでも言いたげだ。

                    ※※

●「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と信じていたこともあったのに……。

その中国人ビジネスマンの企業買収の申し出に応じることに決めた、
日本企業の会長(たしか字幕で78歳)が話した。
「日本の製造業に続いてきた護送船団の企業体質は弱い。
それから脱却するには、やっぱり中国かな、と考えた」と。

ああ、なんということだろう、少し以前は”日本式経営”こそ、
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと言われ、
私たち自身もそう信じていたというのに……。

中国人ビジネスマンが再び話した。
「日本企業は、宝の山ですね」。

                    ※※

●「中国市場に、最大の力で迅速に参入せよ」――と中国人社長。

社歴30数年の老舗、中堅の国内印刷機器メーカー・A社の話。
A社は経営不振から会社更生法の適用を受けることになった。
それを買収したのが、上海の企業。

高性能の印刷機を製造できる技術力があるのは、
世界で日本とドイツだけなのだという。
その企業は、業界では高く評価され、両面同時印刷機を
世界ではじめて開発した実績などもあるとのこと。

経営難に陥り、さまざまな企業に会社譲渡の話を持ちかけたようだ。
しかし、反応は「設計図は欲しいが、従業員はいらない」。

しかし、A社を実際に買収した上海の中国人・K社長は違っていた。
逆に年齢が高い従業員を中心に再雇用し、その一方、
製造ラインのスタッフに過ぎなかった30代半ばの男性を工場長に抜擢した。

そして、中国人・K社長はいま、驚くべきスピードで経営再建を進め、
初年度で黒字に転換させているというのだ。
その中国人社長は、会社再建のプロでもあるらしい。

従業員がK社長について語った。
「印刷業界にも精通しているし、世界の情勢にも通じている」

K社長は月に10日も日本にいられないらしいのだが、
よく現場を見て回っているようすが紹介された。
「戦略こそ市場経済の核心なのです」
「今後、印刷機は世界市場で急速に需要が高まります。
中でも中国市場は最大に重要です。ですから、我々は
最大の力で、迅速に参入しなければならないのです」


                    ※※

●ニッポンは眠りつつある獅子――?

中国は、やはり「脅威」だ。
そのうえ、日本人に欠けてしまっている自信にも満ちている。

清朝末期、中国は眠れる獅子と揶揄されながら、列強の侵略に蝕まれた。
日本も後発の帝国主義国として、最後の最後になって中国に進出し、
結果、今日もその歴史を「きのうの続き」(胡錦濤主席)として引きずっている。

清朝政権は、自分たちの遅れた姿をなかなか認めようとしなかった。
プライドだけで、世界と渡り合おうとしていたのだ。
それが魯迅の「阿Q正伝」に描かれた姿だったのだ。

翻って、いまの日本はどうだろうか。
遅れてはいない、まだ。……しかし、このままでは抜かれる。
そんな感じではないだろうか。

                    ※※

●中国とどう付き合っていくか……。政治では、経済では。

中国とどう付き合っていくか……、これはすごく難しい問題だ。
政治と経済とが、異なる尺度を使わざるを得ない面だってある。
経済の論理だけに政治をあわせることはできないし、
一方で経済だけが関係を濃密にしていっては、
とどのつまるところ、国の存続を結果として危うくしかねない。

その舵取りは、私たちが選んでいるはずの政権に託すしかないのだが、
それにしても、日本人は覚醒すべきときに至っているのかもしれない。
座して衰退したくない。

日本は毎日毎日、努力するしかない――。
努力によってパワーを維持し、知恵によって世界と競っていくしかない。
そして我が身を守るためには、狡知さも身につけていかなければならない。

                    ※※

「アリとキリギリス」の寓話があるけれど、
日本はキリギリスになっては、決していけないと思う。


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by yodaway2 | 2004-11-28 14:33 | 中国と、どう付き合う
日中会談、情報流出の意図は――?
ひとつ前のエントリー「日中首脳会談の全容がわかった――と、NHK」に補足したい。
結論としては、会談の全容とされる今回の情報は、
中国側による流出、リークが中心になっていると思われる。

リークされた内容は、中国側からすれば、
今回の会談における言葉そのもの露出させることによって、
どうしても日本側に、とりわけコイズミ首相に、靖国問題での対応を
促したいとのメッセージになっている。かなり切実な響きがある。

さて、それに応えるか、いなすか、はねるか……、なのだが。

                    ※※

●情報の流出元は、やはり中国では……?

Internet Zoneさんからのトラックバックをみて、昨日の
NHKニュース10で報道された内容が、いま、NHKのサイトにて、
動画で見れることがわかった。記事は同じNHKのサイト内の
NHKラジオニュース(昨日夜10時のNHKジャーナル)で聞くことのできる
放送原稿と同じ内容になっている。
・NHK→http://www3.nhk.or.jp/news/2004/11/27/d20041126000164.html
(※NHKラジオニュースは更新により、すでに26日分は聴取できず。27日午後11時追記)

つまり、動画と記事(放送原稿)は若干、異なる点がある。

異なっているのは、放送原稿の方では、両首脳のやりとりが
靖国問題に絞られていて、原子力潜水艦事件、東シナ海の資源開発問題が
まったく出ていないこと。(――したがって、この内容が全容そのものではない。)

一方、動画の内容では、コイズミ首相が原子力潜水艦事件、資源開発問題に
言及している(抗議している)部分が、音声劇のように両首脳を擬したやりとりで、
伝えれている。これはたぶん、元々の”流出情報”に、テレビの方では、
さらに日本側の主張を加えて構成しなおしたのだと思われる。

もともとの”流出情報”を構成しなおした――とは、
つまり、もともとの情報が、どうも中国側から出ていると思われる。

ラジオニュースの放送原稿、すなわちサイトでのテキスト部分は、
たぶん、流出させたカタチに近いものなのだろう。
時間の関係か何かで、ほかの情報と合わせて再構成までされなかった。
それに対してテレビの方は、一部、日本側の発言を加味したのではないか。

いずれにしても、情報の流出、リークについては、
明らかに中国側の意図が働いていると見て取れる。

                    ※※

【動画/テレビ・ニュース10】

まず、動画のなかで、2人の声音で再現されているやりとりを、テキストに再現したい。

●胡錦濤主席(01)/心から中日両国が長く平和共存し、共に発展していくことを、
真摯に望んでいる。これは決して外交辞令ではない。
本日は率直に、胸襟(きょうきん)をひらいて話し合いたい。

●小泉純一郎総理大臣(02)/私もかねてから申し上げているとおり、日中関係は両国にとって
もっとも大事であり、協力していかなければならないと思っている。
どの国にも、いかに友好な関係にあっても、ときには摩擦が生じることはあると思っている。
原子力潜水艦の領海侵犯の問題についても、町村外務大臣が
外相会議の際に申し上げたが、再発防止につとめていただきたい。
また、海底資源の問題についても対立の海でなく、協調の海にし、
双方の利益になるようにしていくことが大事である。

●胡主席(03)/中日関係を発展させるには、歴史を避けて通ることはできない。
なぜなら、きょうはきのうの続きだから、切り離せない。現在、両国の政治関係に
困難をもたらしているのは靖国問題である。小泉総理大臣に、適切に
対応していただきたい。私は中日関係が損なわれるのを見たくない。

●小泉総理(04)/靖国問題についても、懸念は承知している。
私自身、あのような戦争を起こしてはならないと思っている。
今日の平和と繁栄も、心ならずも命を失くした人たちの犠牲の上に成り立っている。
私はこれらの人たちに対する敬意と感謝の念を持って、靖国を参拝してきた。
胡錦濤主席の話を聞かせてもらったが、中国側の心配を承知している。
今後、慎重に対処していきたいと考えている。

●胡主席(05)/一点だけ補足したい。中国及び中国人民は、従来から、かつての
不幸な戦争の中で、日本の一般民衆や、心ならずも戦争に赴いた
一般の人も戦争の犠牲者であると認識している。
しかし、ごく少数であるが、かつて戦争を起こした戦犯は違う。
小泉総理大臣には被害者の心情を考慮すると共に、両国の平和、強調を
考慮に入れ、適切に対応してもらいたい。

●小泉総理(06)/来週にはASEANと日中韓の会合が行われるが、
東アジアのみならず、国際平和の観点から、日中友好を大事にしていきたい。

                    ※※

【記事/ラジオニュース放送原稿より】

次にサイトの記事、つまりラジオニュース(NHKジャーナル)で読まれた
記事、放送原稿のなかから、「」内の発言部分のみを抽出する。こちらはコピペ。

●胡主席(07)/中日両国はアジアばかりでなく世界の平和と発展のために
大きな責任を担っている。両国の指導者は、終始一貫して戦略的な高さから、
また長期的視点から関係の発展を推し進めるべきだ。

(靖国参拝問題について)中日関係を発展させるには歴史は避けてはならない。
なぜなら、きょうはきのうの続きで、切り離せないからだ。
現在、両国の政治関係に困難をもたらしているのは、靖国問題である。
小泉総理大臣に適切に対処していただきたい。

この問題が長引けば、戦争被害国の国民の気持ちを傷つける。
なぜ、私が小泉総理大臣に対し胸襟を開いてこの問題を話したかというと、
来年はファシスト勝利60周年という大事で敏感な年だからだ。
私は、中日関係が損なわれるのを見たくない。

●小泉総理(08)/歴史を大事にし、鏡として、過ちを繰り返さないようにしたい。
靖国の問題についても懸念は承知している。

私自身、あのような戦争を起こしてはならないと思っている。私も、もし、あの時期に
生まれていれば、本意でなくても戦場に赴かざるを得なかっただろう。心ならずも
戦場に赴き、命を落とした人達の無念というものを忘れてはいけないと思っている。
今日の平和と繁栄も、心ならずも命をなくした人達の犠牲の上に成り立っており、
こうした人達に対する敬意と感謝の念を持って靖国を参拝してきた。

胡錦涛国家主席の話も聞かせてもらったが、中国の心配も承知している。
今後慎重に対処していきたい。

●胡主席(09)/一点だけ補足したい。中国及び中国人民は、従来から、
不幸の戦争の中で、日本の一般民衆や心ならずも戦争に赴いた人も
戦争の犠牲者であると認識している。

しかし、ごく少数であるが、かつての戦争を起こした戦犯は違う。
戦犯を嫌う深い気持ちを持っている。

従って小泉総理大臣には、被害者の心情を考慮するとともに、
両国の平和、協調を考慮に入れて対応してもらいたい。

                    ※※

●テレビとラジオの内容の差について。

このエントリーの冒頭において、情報流出元が中国側ではないか――と推測した。
いま、テレビとラジオの放送原稿をテキストに再現してみたのだが、
たとえば(07)の「戦略的な高さから」、(09)の「不幸の戦争の中で」など、日本語として
やや不自然な言い回しが見受けられる。

「戦略的に高い観点から、視点から」とは言うけれど、普通「戦略的な高さから」とは言わない。
同様に「不幸の戦争の中で」は「不幸な戦争の中で」であって、テニヲハが誤っている。
翻訳者のミスかもしれないが、NHKは、事と次第によってもめごととならないよう、
字句の修正は行おうともせずに、放送原稿にまとめた、と考えてみた。
テレビの(05)では「不幸な」と言っているのだけれど、
こちらは吹き込み段階で原稿を誤りと判断し、直したのではないかと思う。
テレビでは字幕もずいぶん違っていた。

とくに注目したいのは、分量的にも勝っているラジオ原稿の方である。
雰囲気としては、こちらがたぶん、元の資料に近いのではないか。

流出資料がない状態で、公式に提供された資料と聞き取りなどの取材によって、
まとめた内容であれば、テレビに比べ分量的に勝っているにもかかわらず、
日本側から抗議に近い形で発言した潜水艦事件や東シナ海ガス田問題が、
「全容」と言いながら、まったく触れられていないのは奇々怪々と言わざるを得ない。

たぶん、内容に対する責任の問題を視野に入れて、元の資料に、
敢えて手を加えなかったか、時間の関係で再構成しなかったと推量したい。

言葉の不自然さもあるけれど、潜水艦事件と東シナ海ガス田問題が
ふれられていないことに、中国側からの情報流出、リークであるとの印象を抱いた。

                    ※※

あとは言わずもがなかもしれない。

情報のリーク元は、私の想像なのだけれど(^^)、
なんとなく王毅駐日大使その人か近い人物のように思われる。
言葉の端々にまで、ある意味、配慮が行き届いていると思うし、
全体の印象として、王毅氏がかねて話してきていることに、
力点がおかれているようにおかれているように思われるからだ。

配慮とは、たとえば(07)において「両国の政治関係に困難をもたらしているのは」と、
「両国の関係」とは言わず、ちゃんと「政治関係」と範囲を特定している。

(09)の「中国及び中国人民は、従来から……」と、「中国人民」を並立させている。
ときどき現れる反日的な世論、ムードを意識していると思うし、
また日本側が、とくに前政権、江沢民時代に反日的な教育が進められ、
反日的な意識に傾いていると不満を持っていることを意識していると
思えなくもないのである。

いずれにしても、日中双方、なかなか考えたやりとりになっていると思う。

                    ※※

●「一点だけ補足したい」――と、A級戦犯合祀の問題。

胡錦濤主席は会談の終わり(05)(09)に「一点だけ補足したい」として、
間接的ながらA級戦犯合祀の問題を持ち出した。
このことについて、日本側の対応を求めている――との意思表示と受け取れる。

その後のニュースで、コイズミ首相は来年度以降の参拝継続に
明言を避けていることになっているが、(05)(09)からは、
中国側が求めているのは「A級戦犯合祀」への対応であることが、改めて伺える。

山崎拓氏がCS放送などで、首相の靖国参拝について、
「総理大臣としてではなく、自民党総裁として行うこともあり得る」などと
述べているとのことだが、それではたぶん、中国側との溝は埋まらないだろう。

それをどう判断するか――について、コイズミ首相は、まだ決めていないはずだ。
当然、与党、関係機関、団体などに対する調整にも、なんら意思を示していないはずだ。

だから、まだ、形の問題はあるとしても参拝は続けるかもしれないし、
また、続けないかもしれないのだ。本人も決めていないというのに、
本人以外が、いまの段階でわかろうはずがない。

                    ※※

●中国はナショナリズムの沸騰を避けたい……。

会談のなかで胡主席がふれてきたことだが、
来年が、日本にとっては終戦60年、中国にとっては
抗日戦勝利60年にあたることは、たしかに気にとめるべきだと思われる。
(胡主席が「ファシズム勝利60周年」と述べた意図については
前エントリーにおいて検討済み。)

来年はナショナリズムが沸騰しやすい年になるが、
中国政府はそれを警戒している。

中国は、国家威信をかけて取り組む北京五輪をひかえ、
反日的なムードの高まりをきっかけにして、ナショナリズムが
おかしな方向に噴出し、社会が不安定になることを避けたいのだろう。

                    ※※

また最近、日本人は太平洋戦争について、中国、韓国だけを見ているが、
東南アジア諸国は共通して、いまだこの問題に神経質であることに、
注意を払うセンスは必要だ。

かつて田中角栄元首相が東南アジア諸国を歴訪した際に、
すさまじい反日デモに見舞われ立ち往生してしまったことを、
このごろはすっかり忘れている。その後、今日のような雰囲気にまで
醸成するのに、日本はほんとうに苦労してきた。

                    ※※

●念を押したい中国、決めていないニッポン……。さて、さて。

胡錦濤主席の「一点だけ補足したい……」の発言は、
コイズミ首相の「中国側の心配を承知している。今後、慎重に対処していきたい」を
受けてのものだと考える。前述にて検討のとおり、非常に気を使いつつも、
しかし、A級戦犯合祀の問題に踏み込んで、対応をもとめていることに、
念を押したかったのだろう。

全体をふりかえって、コイズミ首相の発言は、どう見ても具体性のある
言質まで与えたものではないように思われるのだが、
中国側からすれば、問題を靖国についてゼロ回答はない――とまでは、
どうしても解釈を固めておきたかったのだろう。

よく言われるように、中国は「メンツ」を何にもまして
重視する国というこもあると思う。

中国側は会談における中国側の主張の再確認、
コイズミ首相の発言に対する解釈、そして今後の希望を、
情報のリークに含ませてきたと受け止めることができる。

                    ※※

いま、日本は国連の常任理事国入りについても手を挙げているが、
確固とした展望を描いていくには、諸国の支持を得られる発言、行動も
たしかに必要なことだと、私は考えている。

安全保障に軍事力の介在は避けようがないが、日本を守るのに
軍事力に傾くよりは、知恵、知略によって、その達成を試みるほうが、
はるかにコストがかからず、相互に幸せ――というものだと思う。

                    ※※

また、ハナシが固くなってしまったので、最後にニッコリマーク。 
それに、ごはん!――だってさ。 ^^


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by yodaway2 | 2004-11-27 19:44 | 中国と、どう付き合う
日中首脳会談の全容がわかった――と、NHK。
いつものように、NHKのニュース10を見ていた。
キャスターが「先に行われた日中首脳会談の全容がわかりました」――と。
遅い夕食を取っていた最中だったけれど、聞き耳を立てた。

近くにペンや紙がなく、書きとめることができなかったが、
NHKの再現した音声を聞いた限り、
これまで伝えられているより、はるかに率直で、厚みのある、
首脳会談ならではのやりとりだったように感じた。

                    ※※

双方の意見の出し合いがあり、
胡錦濤主席が靖国参拝について行わないよう求めてきた。

コイズミ首相が応じた。
「中国側の心配はわかる。今後は慎重に対処する」

胡主席。「これは外交辞令ではない。日中関係はもっとも大事であり……」
コイズミ首相。「原子力潜水艦の事件については再発防止につとめていただきたい。
ガス田開発などで、東シナ海を対立の海にしたくない……」

胡主席。「先ほどの話に、ひとつ付け加えたい。我々は先の戦争について、
日本の一般の人々も戦争に巻き込まれ、戦争の被害者であると思っている。
しかし、ごく少数ではあるが、戦犯は違う……」

                    ※※

前述のとおり、書きとめたわけではないので、不正確な点はお許しいただきたい。
いま、サイトをあちこち開いてみたが、こうした会談の中身を詳述する記事は、
午後10時35分現在のところ、探せなかった。
しかし、NHKだけのスクープでなければ、明朝まではどこかに出てくると思われる。
私自身、それを待ちたいと思う。

                    ※※

車のラジオで聞いていたのだけれど、今日午前の参議院本会議において、
コイズミ首相は日中関係について「日中関係は日中の2国間の
問題であるだけでなく、国際社会全体にとって重要な関係である。
首脳会談では、今後も個別の問題が2国間の障害とならないよう、
大局的な判断に立って、幅広い分野で協力関係を構築していくことにした。
胡主席とは、未来志向の日中関係を構築していくことで、一致した」――などと答弁した。

来年以降の靖国神社参拝については明言しなかった。

                    ※※

先ほどのNHKニュース10で、コイズミ首相は首脳会談後に
周辺の、親しい人(ヤマザキ氏?)に対して「胡主席には非常に良い印象を持った。
前の江沢民氏とは違う」と述べたとの話が、さりげなく紹介されていた。
これからも、このニュースにはさらに注意していきたいと思った。

                    ※※

APECにおける日中首脳会談は1年ぶりに行われた。
1年の間に、トヨタを筆頭に日本企業が中国市場への進出を加速させ、
貿易額が輸出入ともに増すなかで、政治面では靖国参拝、アジアカップでの
反日的な応援、ガス田開発、そして潜水艦の領海侵犯事件……と、
ギクシャクぶりが目立っている。――つまり「政冷経熱」。

今回の首脳会談では、中国側が靖国問題にしぼって対応を求めてきた。
コイズミ首相からは原潜事件の再発防止(つまり面と向かって抗議した)、
ガス田開発にかかわる対応(つまり、誠意を示しなさいと)などを具体的に要求した。

会談の、その場では、中国側も具体的な対応を言わなかった。
コイズミ首相も「心配はわかる」としつつ、具体的な対応を言わなかった。
しかし、そのあとに胡主席は「付け加えたい」として、
戦争について戦犯(――意味的にはA級戦犯)は別として、
「日本国民も戦争の被害者だと思っている」と述べた。

これは、たしかに中国政府としては、これまでも靖国問題に対して、
にじませてきた考え方ではあったのだけれど、中国の国家元首が、
はっきり言明したのには重みがある。

                    ※※

中国は隣国であり、大国であるだけに、実は私たちにとって、
なかなか安心できない国だと思う。
ホンネでは、中国はやはり脅威に違いない。

ところが中国側からすればどうだろう。
よく中国側から日本がどう見えるか――について、
世界地図を逆さまにする場合がある。
日本列島は、中国大陸からすれば、ものの見事に、
太平洋への進出を阻むように横たわっている。

中国側からしても、先の戦争はさておくとしても、地政学的に、軍事的に、
日本を気にし、警戒しないわけにはいかないのだ。

こうした関係において、両国の緊張が対立、紛争へと高まらないよう、
政治が適切に歯止めをかけていくことは、そもそも必要なことだと思う。
国益を損なってはいけないが、また、あたりまえのことかもしれないが、
政治の働きこそが、やはり大事なことだと思う。

                    ※※

経済がいかに過熱しても、政治には、しょせん、かなわないのではないかと思う。
ちょっと真面目くさって、ものを言ってしまっているかナ――?



※文中記述のとおり、首脳会談の具体的なやりとりは、今後の報道にてご確認ください。
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by yodaway2 | 2004-11-26 23:02 | 中国と、どう付き合う
外務省HP、チェックの価値はあるかも。――日中首脳会談など。
今朝はあたたかで、窓を開けていても平気なほどだ。
ポータルサイトの天気図を見ると、全国的にも晴れが多く、穏やかそうだ。
それでお昼前に、コーヒーをカップに注ぎ、一息入れたい。

                    ※※

今日の朝刊は、昨日が祝日であたためか、どのニュースを読んでも、
ちょっとタイミングが遅くなっているように感じた。
たとえばAPEC(アジア太平洋経済協力会議)――。

私が自宅で取っている新聞は
一面のトップが、例の「首相、靖国参拝の継続示唆」。
記事の中身については、このブログでも連続して検討済みなのだが、
それにしてもピンボケもいいところだ。

継続示唆まではしていない。
継続するかもしれないし、しないかもしれない――、
ただ単に、そういうことでしかないのではないか。

ところで今朝、外務省HPの更新情報がメルマガで届いた。
さっそく個々にページを開いてみた。こっちのほうが、
今回のAPECの件については、
つなげて読めば新聞より詳しく、信頼できそうだ。

それで皆さまも合点承知かもしれないが、ソースを次に。
「首脳宣言(仮訳)」など、いろいろあるのだけれど、
日米首脳会談、日中首脳会談、前後して日中外相会談を。

・日米首脳会談
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/apec_04/j_us_g.html
イラク復興への協力の意思表明。「どのような支援をしていくかについては
日本に任せてほしい」と首相。「当然である」とブッシュ大統領。
北朝鮮問題、米軍の再編問題、経済問題など。

・日中首脳会談
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/apec_04/j_china_gh.html
胡錦濤主席の発言の概要については、これまで目にした他の資料より、
私には一番、これが内容がつかめると感じた。
人民日報ネット版(人民網)などにも会談の内容が掲載されているけれど、
それが中国側にとっては微妙ととらえたのだろうが、
「特に明年は反ファシスト勝利60周年の敏感な年」などの字句が抜け落ちていた。
こちらは”外務省公式ページ”であって、かつちゃんと書いている。
ただ、その一方で、報道で伝えられた、首相の「誠意をもって受け止めたい」の字句はない。
もっとも、これもまた編集モノであるし、会談要旨であって発言録ではないのだけれど。

・日中外相会談
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_machimura/apec_g8_04/j_china_gh.html
潜水艦事件について、首脳会談では押し黙ったけれど、
こちらでは、李肇星外交部長が「武副部長が述べた一言一句すべて理解しているし、
自分の述べた言葉と理解して頂いてまちがいのないところである」と答えたようだ。

・ひとつ上のページ→http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/index.html

                    ※※

私たちはほとんどの情報について、報道を通して知る以外にないのだけれど、
一歩踏み込めば、こうしてHPなどで、より一次情報に近いものにも近づける――と思う。
日々、ニュースに目を覚まされるけれど、たまには外務省のHPも参考になる。
もちろん、もっともなのだが、これもまた編集されたものではあるのだが。

こうした文書でさえ、たかだか10年位前には、
報道関係者でもなければ、お目にかかることができなかったはず。
不十分さは尽きないが、比較すれば、よきことだ。

                    ※※

とにかく諸事、冷静にとらえて、
柔軟に考え、行動を決めていきたいものだと思う。

コーヒー、いれなおそう。


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by yodaway2 | 2004-11-24 11:23 | 中国と、どう付き合う
新潟地震から1ヶ月――。負けてないでほしい。
さっきまで、NHKのニュース10で
「新潟県中越地震から1ヶ月」――のニュースを見ていた。
地震が発生したのが10月23日17時56分頃、
マグニチュード6.8(速報値)と報道があった。

ちょうど夕方のニュースが始まるときで、番組中に速報が入り、
画面が切り替わった……。時間を追って、被害の大きさがわかった。

今日までに亡くなった方は40人。
地震を逃れても、その後の避難生活において、いわゆる
エコノミークラス症候群や疲労などから亡くなった方もいて、
そのたびに政治は、行政は、何をしているのだろうと、苛立った。

重軽傷者は約2860人、家屋被害は約5万1500棟、
今なお、およそ6800人が避難所などでの暮らしを続けているのだという。

                    ※※

1ヶ月の間に、さまざまあった。多くはつらく、やきもきするばかりだったけれど、
皆川雄太ちゃん救出のように希望を感じたニュースもあった。

今日の毎日新聞(サイト)に、その雄太ちゃんのニュース。
雄太ちゃんからお母さんとおねえちゃんの話が出ることはないそうだ。
でも、家族は「貴子さんと真優ちゃんは天国に行った」と話しているのだという。
・毎日→http://qrl.jp/?146273

                    ※※

今夜のニュース10では、いつもの女性キャスターが現地にいて、
慰霊祭のようす、学校のようす、働きはじめた人々のようす……などを伝えてくれた。
いまなお、生活の立て直しに手がかりを探しあぐねている方々も少なくないと思う。
山古志村のように、いつになったら帰れるのか、見通しの立たない地区だってある。

しかし、そうであっても家に戻り、後片付けし、仕事を再開した人も、
日一日と増えているようだ。仮設住宅も、そろそろ入居が始まるらしい。
余震のニュースも、ようやく聞かずにすむようになってきた。


誰だって、負けてなんていられない。


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by yodaway2 | 2004-11-23 22:48 | 社会の問題、世相さまざま
コイズミさんは参拝を継続するのか、しないのか――???
コーヒーの湯気が立つなかで、朝刊にざっと目を通した。
昨日の日中首脳会談についての続報が気になり、
サイトも適当にあちこち開いてみた。

朝刊による共同の記事。
「政府、『靖国』に苦慮。中国主席、中止要求、打開策見出せず」の見出し。
記事のなかで、外務省・竹内行夫事務次官による
「一般論で言えば、日本の立場を相手の国が受け入れないからといって、
日本側がそれに応じるというのでは外交は成り立たない。
決して容易な問題ではないが、理解を求めていく」との発言を紹介し、
「苦しげな表情を見せた」と書いている。

これはオモテ向きの会見――というだけのことかもしれないが、首相はすでに
山崎拓氏を代理人として中国に”派遣”し、唐家セン氏らと会談、
今回の地ならしを試みた。外務省は、案外、カヤの外になっているかもしれない。
ささっと、政治を前に出したフォーメーションに変化させていると見たい。

●「言及避ける」「継続を示唆」と、報道も混乱状態?

共同のサイトではいまの時点(23日10:40)で、
「来年の靖国参拝言及避ける 小泉首相が同行記者団に」(01:11)
「靖国参拝の継続示唆 首相、大局的に中国と協力」(09:15)と、
2つの記事を並べている――。
取材の現場でも、少し情報を混乱しながら受け取っているのかもしれない。

まず後のほうの「継続示唆」の記事だけれど、
中身を読んでも、どこがどうして「継続示唆」に受け取れるのか、
私には理解できなかった。昨日も、いくつかの報道で、
首相がなおも継続の意向であることをにじませたものがあったが、同様に思う。

共同の記事は消えてしまうのが比較的早いので、
その部分のみ、以下にクリップしておきたい。

                    ◇

>中国の胡錦濤国家主席から靖国神社参拝の中止を要求されたことに関し
>「大局的見地から、1つ2つお互いに都合の悪い問題、摩擦のある問題が起こっても、
>日中関係全体発展の支障にならないよう協力していきたい」と述べた。
>来年以降も靖国参拝を継続する考えを示唆したとみられる。

――とのことなのだが、これがどうして「参拝継続」なのだろう?
今の時点では、コイズミ首相は参拝を継続するかもしれないが、しないかもしれない。
上記の記事の発言には、そのどちらであるかを考えるだけの要素が
揃っていないのではないか。

                    ※※

●ロイターに記者懇の発言要旨。「何も言わないことにした」と。

ロイター通信が、記者懇談の要旨を記事にしていた。
こちらの方が、どうなるか……について、参考になる。
短いのだが、著作権を気にして、その部分に限ってクリップしたい。

                    ◇

<日中首脳会談では来年の靖国参拝について明言しなかったが、来年以降どうするのか>
──そういうことについては一切触れなかったし、これからもどんな質問があっても
触れないことにした。日中間は靖国問題だけではない。だから、靖国の問題が出ても、
私は何も言わないことにした。

<これまでは来年以降も参拝すると言っていたと思うがなぜ触れないのか>
──靖国問題だけじゃないからだ。マスコミはそれに関心があるが、それ以外の
大事な問題がいっぱいある。対立する点だけ取り上げてもしょうがない。
(これからは)何も触れない。

<A級戦犯の分祀について>
──政府が関与する問題ではない。

                    ◇

短いが、記者懇での、首相のナマの言葉がうかがえる。
コイズミ首相は「これからもどんな質問があっても触れないことにした」と言っている。
「私は何も言わないことにした」とも。これは、いろいろ考えることのできそうな発言だ。

A級戦犯の分祀についても「政府が関与する問題ではない」と発言している。
これも何か、今後において着眼していきたい点だと思った。

                    ※※

●中国は会談に乗り気でなかったが、領海侵犯で断れなくなった。

今回の首脳会談について、中国側は乗り気でなかったのだろう。
しかし、それが原子力潜水艦の領海侵犯事件によって、
拒否できない事態に追い込まれてしまった。

首相はAPEC行きの前に、潜水艦による領海侵犯事件についてただすことを明言していた。
そうした状況下で、もし会談を断れば、中国外交部が遺憾の意を表明したことが
水泡に帰し、日中関係は抜き差しならないほど悪化しかねなかった。
だから中国側に、首脳会談を断る選択肢は最初からなかった。

コイズミ首相側にも、読みの甘さはあった。
胡主席が「靖国」とはっきり言葉にして、中止を要請してくるとまでは、
最終的に予測しきれていなかったように思われる。
これで、さしものコイズミ首相も「何も触れない」――ということになってしまった。

よって、いまの時点では、コイズミ首相が「参拝継続を示唆」と
受け取るだけの要素までは確認できない。

                    ※※

●胡主席は嘆息をついていることだろう……。

胡主席からすれば、今回の会談を予定の倍以上の時間をかけて行ったのに、
コイズミ首相に面と向かって、善処を頼み込んだというのに、
はっきりとした言質を取れなかった――と悔やむ気持ちが募っているかもしれない。

しかし、それは、もともと今回の首脳会談で一気に、コイズミ首相の姿勢が
変わるはずもなかったので、ないものねだりをしてしまった、ということなのだろう。
密かに恥じてもいるだろうし、密かに怒ってもいるだろう。

それだけに今後どうするか……、コイズミ首相としても日本としても、
微妙で難しくなってきている。

                    ※※

●難を転じて福となせるかもしれない。……楽観的かナ?

――と、ここまで書いてきてなのだけれど、
日中間には、コイズミ首相も発言しているとおり、さまざまな問題があるのだが、
この、靖国問題ひとつに力が集中しかかっているのは、
ある意味、逆に考えれば、やはりおもしろい状況になってきていると感じる。

そのことは、ひとつ前のエントリーにまとめたとおりなので、重ねて書かない。
しかし、難を転じて福となせる機会にも思えるので、
願わくばコイズミさん、ひとつ柔軟に、変幻自在に――と
申し上げられるなら申し上げたい気持ちになっている。


                    ※※

新聞をめくりつつ、気になることは多し。
されど時間は少なく、エントリーできるものは限られてしまう。
もどかしいなあ。


※できれば一つ前のエントリーと合わせてお読みいただきたく思います。^^
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by yodaway2 | 2004-11-23 11:19 | 中国と、どう付き合う
日中首脳会談、けっこうおもしろかったかも。――駆け引きはこれから。
遅まきながら、たったいま、日中首脳会談のやりとりをいくつかの記事で読んだ。
そのなかで、現時点では毎日、サンケイが「会談の要旨」をまとめていて、非常に、
注目すべき内容を含んでいるように受け取れた。

毎日は記事(署名記事)において「1年ぶりの両首脳の会談は、
関係の悪化に若干の歯止めをかけた程度で終わったといえそうだ」との
評価なのだが、私はそうも思わなかった。

朝日もネガティブな評価で「靖国問題を解決しない限り、政治分野での日中関係の
本格的な改善は見込めないことが明らかになったと言える」としているが、
私自身は逆にも考えられる――と思った。

「靖国問題を解決しないかぎり」は、
「靖国問題さえ解決すれば」の裏返しであるからだ。
詳しくは後述するが、日中間には、ほんとうにさまざまな問題があるはずなのに、
これはおもしろいことになってしまったと思う。

まだ報道が出揃っていない段階なので、暫定的な感想なのだけれど、
案外、それなりに成果のある会談だったのではないだろうか。
さらに、ひょっとしたら、コイズミ首相の方が、
うまく中国、胡錦濤主席を追い込んでいると考えることさえできる。


                    ※※

まず、ふうん……と思ったのは、会談の時間が、当初に予定された
30分間を大幅にオーバーし、1時間7分に及んだという点。

会談は胡主席の宿泊しているホテルに、コイズミ首相が出向く形で行われたのだが、
それはまあ、止むを得ないとして、会談時間が予定の倍以上となったことは、
その止むを得なさを払拭する「儀礼」に相当すると思えた。

これは、中国側の日本重視の気持ちを表現したものと受け取れる。
よきことだった。

                    ※※

次に、一番問題となっている靖国問題について。

過去における、胡主席の靖国問題への言及の仕方は、
「歴史認識」などの表現を用いて、もっと間接的だったように記憶している。
しかし今回は、どうも胡主席は「靖国」とはっきり言ったようだ。

だが、胡主席の立場からすれば、江沢民氏から先に、
軍事委員会主席のポストを引き継ぎ、全権掌握した今、
「弱腰」は見せられないタイミングなのだろう。

さらに折り悪く、中国海軍による意味不明、不可解な、潜水艦による
日本領海侵犯事件が起き、世界中に恥をさらしてしまっている。
ちなみに、この問題について、コイズミ首相は再発防止を求めたが、
はっきりと応じなかったようだ。――それはそうだろう、カッコ悪いもの。

                    ※※

胡主席の発言は、一見、靖国問題で日本側を強く批判しているようにも受け取れるが、
しかし、会談要旨を読んでみるとそうでもない。とくに、胡主席が
「来年は反ファシスト勝利60周年の敏感な年だ」と述べている部分は注意して良いと思う。

「中日戦争勝利」などとは、当然といえば当然だけれど言ってきていない。
きちんとその言葉を避けて、「反ファシスト勝利60周年」――としている。
つまり、かなり問題を「反ファシスト」と絞ったうえで、配慮したうえで対応を求めてきた。

噛み砕いて解釈すれば、「戦争は一部の戦争指導者の誤りによって
引き起こされたものと認識するし、多くの日本人が
ファシストと一致しているのではないと考えたい」と言っているようにも聞こえる。

胡主席は、中国が戦争について、当時の政治、軍部の指導者に
問題があったと――との認識を示したとも受け取れる。

この「反ファシスト勝利」の言葉に、靖国問題の出口を探る姿勢がうかがえる。
ちょっとこれは、やはり日本側としても考えなければならないのではないか――と思えた。

なお、いまここでは、A級戦犯、さらには戦争犯罪人を裁いた東京裁判の
正当、不当は別の問題としたい。また、ここでは歴史認識についても
問題を分けて考えたいと思う。

                    ※※

コイズミ首相は、胡主席のこの発言に対して「誠意をもって受け止めたい」と応じつつも、
「心ならずも亡くなった先人に哀悼の真心をささげ、不戦の誓いをするということで
参拝している」と述べた。これは、これまでも話してきた内容だった。

サンケイは「(胡主席は)『歴史は避けて通れない。適切に対処してほしい』と
中止を求めたが、首相は参拝継続の姿勢を変えなかった」と記事に書いているけれど、
むしろ、コイズミ首相の発言で重いのは「誠意をもって受け止めたい」の部分だ。

「誠意」の言葉でコイズミ首相は胡主席のメンツを立てたが、
同時に課題を背負った。――これは外交なので仕方ない。
中国側も、ここは注意して受け止めているに違いない。

                    ※※

エントリーが長くなると読みにくくなってしまうので、結論を急ぎたい。

これまでの記事を読むと、日中関係の改善には、
依然として靖国問題が障害になっていて、今回の会談は、
1年ぶりであったにもかかわらず、希望の見出せる結果ではなかったとの評価が
平均的であるように思われる。

しかし、繰り返しになるけれど、これは逆にも考えられるのだ。

                    ※※

そもそも、もともと、日中間にはさまざまな問題が横たわっており、
それゆえ軍事的、地政学的にも、警戒を緩めることが難しいのだ。
潜水艦事件は、それで発生した事件でもある。
ガス田開発、EEZの線引き、尖閣諸島領有の問題も同様である。

中国は日本の国連安保理の常任理事国入りについても
邪魔をしようとしているが、それは実は靖国問題が原因ではなく、
軍事的、地政学的に日本を障害と見ているからだろうし、
現在の常任理事国の軍事支配を譲りたくないとの考えが原因ではないかと思う。

また、経済的にも、中国は有望な市場である反面、
生産拠点としては最大の脅威となっている。

なのに……、なのにだ、非常におかしなことに、日中間のフクザツな問題が
まとめて「靖国問題」の一点に絞られてしまっているではないか。
これには含み笑いをしてしまいたいくらいだ。

コイズミさん、どうかうまくやってほしい。
日中双方で靖国問題をクリアできれば、フクザツなほかの問題で
日本は明らかに攻勢に出ることができるかもしれないし、
北朝鮮問題についても中国を抑制できるかもしれないし、
平和的かつ友好的にさまざまな面で、国益の増進を図れるかもしれない。

けっこう、今回の会談を、こうして逆から、ナナメから考えてみると、
なかなかおもしろく見えてきてしまったのだ。

                    ※※

いずれにしても、駆け引きはこれから、だ。
ミサイルや戦闘機、潜水艦で戦うよりも、知恵、知略で戦うほうが、
100倍、1000倍、無限倍に良いはずなのだ。


                    ※※
【追記/20:12】
夕刊を、いま開いた。見出しに「胡中国主席、靖国参拝を直接批判、
首脳会談、関係改善 糸口見えず」「経済分野へ影響懸念も」――とある。

胡政権は、これ以上の日中関係の悪化を望んでいるとは、とうてい思えない。
少なくとも江沢民政権に比べて、はるかに日中関係の改善、進展を模索している。

今回、胡主席はコイズミ首相の靖国参拝を批判したけれど、それはむしろ、
この問題では中国側の方が困りきっていて、
内容的には「懇願」に近い響きが潜んでいた。
「お願いですから、なんとかしていただけませんか」との。

中国国内のメディアでは、今回の日中の首脳会談が、まだ報じられていないらしい。
胡政権は日本に対して「弱腰外交」と、世論から非難されることを危惧し、
メディアをコントロールしているからだという。

情報を読み誤ってはならない。


※次のエントリー「コイズミさんは参拝を継続するのか、しないのか――???」に続きます。
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-------------------------------<参考>-------------------------------

【靖国問題のやりとり】

今回の会談における、靖国問題に関わるやりとりについて、
毎日、サンケイの会談要旨からそれぞれコピペしておきたい。

                    ◇
<毎日>
胡錦濤主席 日中関係の発展は新指導部も最重視している。日中は相互補完の関係にあり、
共通利益の拡大を目指すべきだ。ただ、いくつかの点については配慮する必要がある。
第一に、三つの政治文書の順守だ。歴史を鑑(かがみ)として未来に向かい、大局に立って
関係を発展させ、第二に地域国際問題での協力、第三に相互理解と信頼関係の促進、
第四に共通利益を踏まえた経済交流の促進。歴史を避けては通れない。靖国神社では
適切に対処してほしい。来年は反ファシスト勝利60周年の敏感な年だ。

首相 4点のほか、多くの点で共通認識を分かち合っている。歴史を大切にすることが重要だ。
靖国神社について(胡主席から)言われたことは、誠意をもって受け止める。心ならずも
亡くなった先人に哀悼の真心をささげ、不戦の誓いをするということで参拝している。
・元ソース→http://qrl.jp/?134736


<サンケイ>
主席 日中両国は歴史を鑑(かがみ)にして未来に向かうべきだ。歴史を避けては通れない。
日中間の政治的な障害は日本の指導者が靖国神社を参拝していることだ。
適切に対処してほしい。来年は反ファシスト闘争60年の敏感な年だ。

首相 誠意を持って受け止める。心ならずも戦場に赴いた人々に哀悼の誠をささげ、
不戦の誓いのため参拝している。歴史を大切にすることは必要だ。
・元ソース→http://www.sankei.co.jp/news/041122/sei054.htm


※予定していたライス氏の論文についてのエントリーは、次回以降に持ち越しになります。
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by yodaway2 | 2004-11-22 19:31 | 中国と、どう付き合う
彼を知り己を知れば危からず――。オマケで「孫子」の言葉付き!
(★末尾にオマケ、「超エッセンス!たった10のフレーズで『孫子』がわかる」があります。)

夕方に犬の散歩を終えて、ようやくコーヒーにありつき、キーを叩ける時間になった。
そこで、今日は気まぐれっぽくもあるのだけれど、
日ごろ、趣味で読んでいる書と、いま、気になっている人物について、
ちょっと書いてみたい――。

●「孫子」とライス氏が、アタマをよぎった。

書は中国の兵法「孫子」、人物は新しく米国の国務長官に
就任が決まったコンドリーザ・ライス氏。

たぶん……、このエントリーでは、ライス氏まで手が回らないかもしれないが、
話したい内容というか、イメージはひと続きになる。

                    ※※

●敵を知る、自分を知る……。

まず中国の兵法「孫子」。その謀攻篇に、
「彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず。
彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆うし」――という言葉が出てくる。

「孫子」を代表するような言葉なので、
ご存知の方は多いと思われる。

一応、念のためにその意図する意味を述べれば、
「相手を知って自分のこともわかっていれば、百度戦っても危ないことはない。
相手のことはよくわからないとしても、自分のことがわかっていれば、
勝ったり負けたりということになるだろう。相手のこともよく知らない、
そして自分のこともわからないという状態であれば、
戦いの度に、決まって危険な目に陥ってしまう」――ということになる。

この言葉が、ふとアタマの中をよぎった。

                    ※※

●古今のリーダーと「孫子」の啓示。

「孫子」はいまからおよそ2500年前、中国古代(春秋時代)に生まれた
戦いの書、戦争の理論書――。
著者は諸説あったが、最近の研究では孫武に落ち着いている。

当然のことながら、「孫子」が時代を超えて読み継がれ、
さらに西洋など、異なる文化圏にまで支持されているというのは、
その言わんとするところが、いつの時代にも、人間の行いの所産としての
政治、外交、ビジネス、人間関係のすべてに通じているがゆえのこと。

事実、「孫子」から歴史上の、そして現代のリーダーたちが
多くの啓示を受けてきた例は、数多く紹介されている。

●ナポレオン、ヴィルヘルム2世、毛沢東……。

ナポレオンはフランス人宣教師の訳した「孫子」を
多忙な戦陣にあっても片時とも手放そうとしなかった。

独皇帝ヴィルヘルム2世は第1次世界大戦に破れ、亡命先のロンドンで
初めて「孫子」を手にし、次のような悔恨の言葉を残している。
「もし私が、20年前にこの書を得ていたならば、あのような惨敗は
まぬがれていただろう」と。

現代の中国、中華人民共和国を建国した毛沢東もまた、
「孫子」を座右の書とし、抗日戦と国共内戦とに勝利した。

日本において「孫子」を中国から初めて持ち帰ったのは、
8世紀の遣唐使、吉備真備と言われている。
以来……、中国においても
「家ごとに孫呉(孫子と呉子、どちらも兵法書)の書を蔵す」(「韓非子」)と言われ、
もちろんよく読まれてきたのだが、日本においても
本家・中国に遜色ないほど読まれ、例外なく武将の必読書となった。

武田信玄の旗印「風林火山」も「孫子」の一節からとられたもの。
徳川家康が官版「武経七書(代表的な7つの兵法書、全集のようなもの)」を
刊行させたことが契機になって、江戸時代には儒者が競って注釈を書いた。

●父ブッシュ、パウエル、フランクス……。

現代ではどうか……。
先の湾岸戦争において、制服組の最高司令官であったパウエル氏(現国務長官)も
ナポレオンのように「孫子」を愛読し、やはり戦陣に携えていたという。

その湾岸戦争中に、ロサンゼルス・タイムズの記者が
ジョージ・H・ブッシュ大統領(父ブッシュ)にインタビューするため、
ホワイトハウスの執務室を訪れたところ、机の上にあった2冊の書のうち1冊が
「孫子」だった――。ちなみに、もう1冊は「カエサル伝」だったとのこと。

今回のイラク戦争で、最初の指揮官であったフランクス陸軍大将もまた、
「孫子」を愛読していた。(……と言うよりも、実は「孫子」は、米国の
ウエスト・ポイント米陸軍士官学校で長く副読本となっているらしく、
米軍のトップは当然にして身に付けている素養のようなものなのかもしれない。)

……と、まあ、「孫子」がいかに読まれているかの例は、
月並みな表現ながら、文字通り枚挙にいとまがない。

                    ※※

●コイズミ首相は? 子ブッシュ大統領は?

日本のコイズミ首相が「孫子」を愛読しているかどうかについては、
はっきりと伝えられた情報は確認していない。
ただし、首相は漢籍を好むらしく、もっぱら「論語」らしいのだが、
「孫子」を知らぬはずがない。

首相に就任して最初の夏休み、休養先に塩野七生氏の「マキアベェッリ語録」を
持っていったことは伝えられているし、司馬遼太郎氏の「国盗物語」なども
影響を受けた書として挙げていた。

なお、漢籍好き……については、歴代首相の多くがそうなのであって、
実はわざわざ改まって言うほどの個性ではないのかもしれない。
これには陽明学者、故・安岡正篤氏が幾人もの歴代首相に、
指南役をつとめたとされるが、それがいまなお、影響しているのかもしれない。

”盟友”、ジョージ・W・ブッシュ大統領が「孫子」を読んでいるかどうかも、
情報に接したことはないが、父の愛読ぶりからすれば、少なくとも内容は知っているはず。
ただし、日夜、座右でひもとくのは「聖書」。キリスト教右派なので。

話がズレタ。もとに戻そう。

                    ※※

●敵を知り、友を知り、そして自分がわかれば殆(あや)からず。

冒頭の言葉「彼を知りて己を知れば……」なのだけれど、
「彼」はもともと敵情の意なのだが、これは、ひとつ意味を広げて「相手」とも言える。

また、友、盟友についても、同じように知らなければ、
やはり百戦を強いられるなかで効率的に戦っていけない。

敢えてもじって言えば、
「友を知りて己を知れば百戦して殆(あや)うからず」――、さらに
「敵を知りて、友を知りて、己を知れば百戦して殆(あや)うからず」となる。

                    ※※

●いずれが彼で、いずれが友か……。しかし、知らねばならない。

いま、コイズミ首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席し、
米国・ブッシュ大統領と会談した。ロシア・プーチン大統領、
中国・胡錦濤国家主席とも会談することになっている。

ロシアが年明けのプーチン大統領の来日に向けて、
北方領土問題を牽制にかかってきている。
台湾が、先の領海侵犯した中国原潜を、最初に発見し、
米国と日本に通報したのは自分だと言った。

東シナ海のガス田開発問題、EEZの線引き問題、尖閣諸島の領土問題……。

そして、膠着を続ける北朝鮮問題、拉致事件……。
コイズミ首相はブッシュ大統領との会談で「6カ国協議が解決のカギ」と
述べたとは言うのだけれど…………。

いずれが敵で、いずれが味方かは、敢えて言わない。
しかし、それが敵であっても、友であっても、敵でありかつ友であっても、
よく知らねばならない。

もちろん、自分も知らなければならないし、また、自分を見失ってもいけない。

                    ※※

●ライス氏を知らば、百戦して殆(あや)うからず?

ところで米国については、日本はよく知っているはずなのだけれど、
それにしても、日本の将来、先々に影響の大きい国務省のトップが、
コリン・パウエル氏からコンドリーザ・ライス氏に交替することになった。
知日派のアーミテージ国務副長官、そしてベーカー駐日大使の退任も決まっている。

2期目のブッシュ政権は、けっこう大幅なメンバーチェンジになりそうで、
顔ぶれが気になるけれど、なかでもライス氏については、
改めて、よく知りたいと思った。

                    ※※

昨日、図書館に行って、ライス氏の論文を探し、一つ、見つかるには見つかった。
ちょっと古いのだけれど、逆にそこから、彼女が、まったくブレないできていることを知った。
9.11を契機に、たしかにライス氏はネオコンの主張に大きく舵を切ったと思うのだけれど、
そもそも根本的な考えは、それ以前から抱いていたものであって、
路線の変更でもなんでもないことを知った。強化ではあっても。

ライス氏の論文を紹介したいのだけれど、
今回はいつになく長くなってしまったし、話が余りにあちこち行ってしまったので、
次回、新しいエントリーに続けていきたいと思う。

                    ※※

まあ、たまには、まとまらないってこともアリマス。
今回は「孫子」の話が中心になったということで、お許しください。^^
お詫びに、下記に「孫子」のサワリ、10+1の言葉を選んでみました。
このエントリーのオマケですが、どうぞ、何かのご参考に。


-------------------------オマケ--------------------------
          
【超エッセンス!たった10+1のフレーズで「孫子」がわかる】

▽兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
(戦争は国家の命運を決める大事な問題。国民の生死が決まり、
国家存亡の分かれ道となる。だから、そこのところをよくよく考えて行わなければならない。
=「孫子」の一番最初に出てくる言葉。)

▽兵は詭道(きどう)なり。
(戦争はだまし合いである。=これこそ、「孫子」の中心的な命題。)

▽算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而(しか)るを況(いわ)んや算なきに於いてをや。
(戦いは勝ち目があるから勝ち、勝ち目が少なければ勝てない。だから、ましていわんや、
勝ち目がまったくないのに戦っても、勝てるはずがない。
=戦争するからには、よく計算してからにせよ、ということ。精神論はダメ。)

▽兵は拙速なるを聞くも、いまだ功の久しきを賭(み)ず。
(古来、戦いはすばやく集中してやるのが良いとは聞いているが、
ぐずぐずだらだらやって、国家国民のためになったなどという例はない。
=長期戦は避けよ、泥沼になっては危険このうえなし。)

▽百戦百勝は善の善なるものにあらず。
戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。

(百回戦って百回勝ったからといっても、それがベストな戦い方とは言えない。
戦わずして敵の軍隊を降伏させてしまうのが、最もすぐれた戦い方なのだ。
=「孫子」のなかで、私たち日本人が最も愛してきた言葉? 戦わずして勝つ――!)

▽戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝(あ)げて窮むべからざるなり。
(戦いの形は奇(奇襲戦法)か正(正攻法)かのどちらかに過ぎないのだが、
その奇と正が織りなす変化の形は無限となる。
=千変万化、変幻自在の戦術で戦いに臨め、ということ。)

▽兵の形は実を避けて虚を撃つ。
(戦いの形、作戦は、敵の備えの厚いところを避け、隙のあるところ、手薄なところ、
油断しているところ、すなわち「虚」を衝け。=個人的に「実を避けて虚を撃つ」、
この言葉こそ「孫子」のもっとも重要な言葉と考えている。よって★★★。
この言葉の前に「兵の形は水に象(かた)どる」がある。これも重要。)

▽兵は詐(さ)を以て立ち、利を以て動き、分合(ぶんごう)を以て変を為す者なり。
(戦いでは敵の裏をかくことを中心にすべきだし、有利なところを見極めて動くべきだし、
自在に分散したり集合したりして変化の形をとっていくべきだ。
=繰り返し、繰り返し、「孫子」は”変化せよ”、と説いている。)

▽主は怒りを以て師を興すべからず、将はいきどおりを以て戦いを致すべからず。
(君主は怒りにまかせて軍を動かすべきでないし、将軍も憤りに任せて戦ってはならない。
=冷静であれ、と説く。「孫子」はクールで、物事にとらわれない姿勢を求めている。)

▽先知なる者は鬼神に取るべからず。……必ず人に取りて敵の情を知る者なり。
(あらかじめ戦いの帰趨を知る者は鬼神のおかげではない。必ず人(間諜)に頼ってこそ、
敵の情報を得て先を読むことができるのだ。=「孫子」の最後の章は「用間篇」。
すなわち間諜、スパイの効用、情報の重要性を説いている。これが2500年前の書だ。)

プラスして、冒頭の
「彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず。
彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆うし」
――で、
10+1の11の言葉を紹介させていただいた。

                    ※※

若い頃(20代の終わり)、全編・13篇を一度、訳したのだけれど、
ワープロの書院で書いたので、それ以降に使用したMac(現在はWinも)で
読めなかった。(変換方法を知らなかった。)ザンネンなことに、そのデータは今はない。

でも、このエントリーを書きながら、非常に短いものなので、
もう一度、最初から訳して注釈を付けてもいいかナ、と思った。

                    ※※

北朝鮮も、中国も、ロシアも知らねばならないけれど、
さし当たって、もう一度米国を知ることも必要……。
そしてライス氏こそ、今後の米国の動向に、キーパーソン中のキーパーソンだ。

「ライス氏を知りて、己を知れば、極東の有事に臨んで危からず」――???


ライス氏のことは次回に。続く。

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by yodaway2 | 2004-11-21 18:51 | 米国はどうする、どうなる
村岡氏の起訴、溺れる犬を棒で叩く旧勢力……。
2日遅れのニュースになってしまうのだけれど、
どうしても気がかりなので、書くことにした。

日本歯科医師連盟から自民党旧橋本派への1億円裏献金事件で、
政治資金規正法に違反したとして在宅起訴された
元官房長官、村岡兼造氏が17日、民主党の「真相をただす会」に出席し、
自らの潔白について話したとのニュース。
昨日18日までに各紙において報道されている。

・日経→「村岡氏「帳簿管理は野中氏」・ヤミ献金事件の関与否定」(http://qrl.jp/?134894)
・夕刊フジ→「村岡たった1人の反乱『お金の権限は野中』」(http://qrl.jp/?146480)

                    ※※

このニュースに、とっさに浮かんだ言葉が、
溺れる犬は棒で叩け――。

村岡氏は民主党の会合で
「夢か幻か、しかし現実だ。昨年の衆院選で失敗した私が
スケープゴートにされた」(日経、18日)と言い、
まったく事件に関与していないことを力説した。

村岡氏は官房長官をつとめながらも、能弁な印象がない。
同氏は激昂している――というよりは、逆に感情を抑え、
必死に怒りをこらえながら話しているようだった。

それが、ちょっと痛々しく見えてしまった。

                    ※※

それにしても、この事件はいぶかしい。
それまで、まるで名前の出ていなかった村岡氏が、
突如として検察の取調べを受け、あれよあれよと在宅起訴されてしまった。

起訴されたのだから、いまは被告――。
しかも、落選の身。

検察はいかなる証拠のもとに、起訴に踏み切ったのだろうか……。
事後の、同氏の剣幕からすると、同氏が嫌疑について認めたとも思えないのだが。
起訴するには、それなりの証拠、供述がいるはずなのだが。
でなければ、検察は公判を維持できない事態に陥ってしまうわけだから。

                    ※※

もちろん、真相はわからない。たしかに、起訴された以上、
それは裁判で明らかにされると承知せざるを得ない。

だが、それにしても、同氏が「知らなかった」とする話では、
派閥の職務や関係者の口ぶり、対応などにも具体的にふれていて、
真実味を感じてしまうのだ。

橋本龍太郎氏が事件発覚後に「1億円のこと知らないか」と、
同氏に電話をかけてきたことにも、同氏は不可解としている。
派閥では、お金の問題は、同氏を選挙前に「毒まんじゅうを喰らった」と批判した、
野中広務事務総長(当時)が握っていた――とも話している。

だいたい、その1億円の小切手を日歯連から手渡された席にいなかった
村岡氏が起訴され、同席していたとされる野中氏、青木幹雄氏、
そして何より橋本氏がスルーなのだから、合点がまったくいかない。

                    ※※

村岡氏は昨年の総裁選において、毒まんじゅうを喰らったと攻撃され、
派閥内の政争に破れ、選挙で落選の憂き目に遭った。
そして今回の日歯事件で、今や、被告の身ともなってしまった。

村岡氏が事件に関与していたか、いなかったかは、当然のことながら
一方向の話で、こうだと思い込んではならないのだろうけれど、
であるとしても、ついこの間まで同氏自身が所属し、
幹部であったはずの派閥から、いまは石持て追われている。

たしかに、自民党所属の国会議員であったのに、
民主党の会合に出席して事件を語った――というのは、
ムラ社会の論理からすれば「利敵行為」にも映るのだろうが、、その前に、
同氏からすれば、仲間と思っていた人間たちからハメられてしまった。

同氏の立場に立てば、自分を守るためには、
利用できる機会はすべて利用し、戦う以外に道がなくなった。

                    ※※

少なくとも、もっと悪いヤツがいるのではないか――。

判官びいきと言われればそうかもしれないが、
もし、無実――と言うなら、きっとそれを証明していただきたいと、
少し応援したい気になっている。

                    ※※

この事件が、わがニッポンの将来を担う青少年に、
大人ってズルイ、政治はキタナイとの印象を、
またも与えてしまいそうで、教育上、非常にヨロシクナイ。

いじめも、キライだ。


よって、とても……ユルセナイ。


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by yodaway2 | 2004-11-19 17:40 | 風雲急!政局と選挙