週刊!Tomorrow's Way
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テーマはその日の出来事、ニュースから。あと50年経てば、いまの時代、どう語られているのだろうか。
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メッセージ
「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 
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カテゴリ:三菱自とタイレノール事件( 1 )
三菱自事件とタイレノール事件
三菱自動車の欠陥隠し事件の報道を見ていて、思い出した別の事件がある。
1980年代に医薬品メーカー、ジョンソン・エンド・ジョンソンが
見舞われた「タイレノール事件」だ。

この事件は、企業倫理(ビジネスエシックス)を考えるときに、
あるいは最近の流行語で言えばコンプライアンス経営を考える際に、
先駆的事例としてよく取り上げられるという。

知っている人は良く知っている……そういう事件らしいのだが、
実は私は、この「タイレノール事件」について、3年ほど前、
仕事関係で参加した講演会ではじめて聞いた。

ちょっと大人のメルヘン……とも思えるのだが、後述する事件の経過、
そしてジョンソン・エンド・ジョンソンの取った対応策は事実らしい。

ググっても、いくつかページが出てくるのだけれど、私なりにまとめてみたいと考えた。
もし、ちょっと前までの私と同様にこの事件をご存じない方で、お時間がれば、
以下にお付き合いいただければと思う。

                     ※※

●1982年、7人がタイレノール服用後に死亡……

ジョンソン・エンド・ジョンソンは周知のとおり、
医薬品メーカーとしてはトップブランドのひとつで、同社製品の
「バンドエイド」は消毒ガーゼ付きの絆創膏の代名詞にもなっている。

その同社の鎮痛薬「タイレノール」についても、その名を知っている方は
多いのではないか。副作用の少ない、とてもポピュラーな家庭薬として、
定着しているようだ。

「タイレノール事件」の発生、あらましはこうだ。

1982年9月30日、米国シカゴ州でタイレノールを服用した少女ら7名が
相次いで死亡した。タイレノールの製造はJ&J社のグループ企業なのだが、
マスコミ、そして米国国民からの問い合わせは、J&J社に殺到した。

J&J社を疑う声も、当初、当然にして生まれたのだ――。


●即座に経営委員会を召集し、全製品回収へ

J&J社の対応は実にすばやく、事件の報道からわずか1時間後には
全米のラジオ・テレビを通じて製品の使用中止を呼びかけているのだ。

このとき、事件の発生を知って経営陣はどのように動いたのか――。

当時、グループ企業の経営最高責任者であったジェームズ・バーク会長は、
マスコミを通じて製品の使用中止を国民に呼びかけると共に、ただちに
経営者会議を招集した。

そして、当時、すでに全米に1万人とも言われたグループ企業傘下の、
全社員に向かって、市場のすべてからタイレノールを引き上げるよう指示を放った。
当然、製造、販売も、ただちに中止された。

さらに、J&J社は自社のタイレノールの開発・製造にかかわるすべての
部門・ラインについて、自ら進んで米国の検査機関に調査を委託し、
情報の提供を申し出た。

経営トップもラインも、全グループが一丸となって、
我が身に降りかかった危機に立ち向かった。


●自ら進んで、検査機関に情報を開示する

この時代……企業が疑わしいというだけの段階で、製品のすべてを市場から
回収するなど、前例のない決断で、誰も考え付かなかったことだった。
J&J社は回収に1億ドルの費用を投じたとも伝えられている。

また、企業秘密ともされていたデータを自ら進んで検査機関に
手渡すなどということも、思い切った処置だった。

このほかにもJ&J社はさまざまな対策を取った。
完全包装の開発(開発後に新品との無料交換)、この事件に関わって
届いたすべての手紙への回答、社員・OBへのメッセージの発信と協力の取り付け、
バーク会長をはじめとする経営幹部の積極的な報道協力、情報の開示……、
考え付くかぎりの対策を取ったようだ。(故・糸瀬茂氏コラム参照)

米国国民は息を呑んで、事件を見守った。

ほどなく……毒物は外部から混入されたものと判明し、
J&J社への米国民の疑念は晴れた。……そればかりか、
疑念から一転、J&J社のすばやく、そして果断な行動に賞賛の声が沸き起こった。


                     ※※

●信頼回復の伏線となった、「我が信条」への誓い

このときのJ&J社――、とりわけグループ企業の最高指導者であった
ジェームズ・バーク会長には、実は伏線となる逸話がのこっている。

バーク氏J&J社の会長に就任したのは、事件発生の3年ほど前だった。
バーク氏は20名ほどの経営幹部を自らの部屋に招き入れ、
J&J社が長く掲げてきた「我が信条」を指差し、

「この『我が信条』とともに生きることができなければ、これを壁から引き剥がそう」

――そう言い、実践を誓い合ったという。(J&J社HPより)

「我が信条」――、どんなことが書いてあるのか。

                    ◇

我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる
医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、
すべての消費者に対するものであると確信する。・・・

我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に
対するものである。・・・

我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、
更には全世界の共同社会に対するものである。・・・

我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。
事業は健全な利益を生まなければならない。・・・


バーク会長はタイレノール事件という危機にのぞんで、
経営幹部と共に、この「我が信条」に忠誠を誓ったことを忘れなかった。
バーク会長は言ったはずだ。「いまこそ、我々は、この『我が信条』を守ろう」――と。

J&J社は果断に行動した。その姿勢は米国国民の共感を呼び、
事件の嫌疑が晴れるや否や、またたく間に市場の信頼とシェアを回復した。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業ブランドは、揺るがなかった。

                    ※※

――と、まあ、こうまとめてみたところ、やはり大人のメルヘン、美談にも
思えるのだけれど、これがだいたいは事実と離れていないらしく、
私自身、驚いてしまったのだ。

対して、三菱自動車はどうだったか…………。
報道によれば、元社長は幹部のリコール申請の助言を無視し、
むしろ積極的に欠陥隠しに動いたようだ。

三菱自動車には多くの社員が働いている。関係する企業も裾野が広いはずだ。
いま、自治体などの指名停止、購入見合わせなどのニュースも伝えれている。

責めることは易い。だが……、このままでは、
社員の方々も座していては、ひょっとすると再生どころか、
とんでもない事態になりかねない。

どうしたらいいのか――。

事故で亡くなった方もいるのだから、間違っても擁護などできないし、
口を極めた非難を受けるのも当然だと思う。
それでも、その一方で、三菱に生きている方々一人ひとりに、
どうか勇を奮っていただきたいと考えている。


・三菱自動車工業
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/japan/

・ジョンソン・エンド・ジョンソン(HOME)
http://www.jnj.co.jp/entrance/index.html
・「我が信条」
http://www.jnj.co.jp/entrance/credo.html

※タイレノール事件に詳しい方で誤謬など、お気づきの点があればご指摘のほどを。
のちほど加筆修正させていただきます。
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by yodaway2 | 2004-06-12 18:32 | 三菱自とタイレノール事件