週刊!Tomorrow's Way
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テーマはその日の出来事、ニュースから。あと50年経てば、いまの時代、どう語られているのだろうか。
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メッセージ
「吾、汝の言に反対す。されど吾、汝の、その言を言うの権利、死に至るまで擁護せん」。学生時代に出会った言葉です。政治をめぐる意見に賛成、反対はつきもの。お互いを尊重しつつ、意見を述べ合いたいものです。 
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コイズミと「孫子」。もし、解散権を行使していなかったとしたら……。
★ご案内/次のブログに「孫子」の概要、言葉をまとめています。
よろしければご訪問ください。yodaway2執筆の別ブログです。^^

・中国古典の名言名句――1000選!→ カテゴリ → 超速習!「孫子」の言葉
  → http://chinawords.seesaa.net/article/5966962.html


                    ◇◆

衆議院が解散となり、1週間が経った――。
首相、コイズミは郵政民営化法案に反対票を投じた前議員には
公認を与えないばかりか、代わりに、その選挙区には公認候補を擁立すると宣言、
事態はその言葉どおりに進みつつあるようだ。

最初、誰しもがそこまでやるのかと思い、また、
そこまで出来るのだろうかといぶかしがった。

それは、自民党は派閥連合政権と言われてきたし、
実質的には地方組織、県連支部の連合体でもあり、
かつ、反対票を投じた議員の中には、それぞれの地方組織で、
非常に有力な存在の者が少なくないがゆえだった。

しかし、首相はこの「ケンカ」に没頭し、一心不乱。
そして、これまでに伝えられたところでは、
それが、どうやら実現に向かっているようだ。

                    ※※

●反対派は解散されるとまで考えていなかった……。

そもそも反対派は、少なくとも切羽詰まるまでは、
首相がほんとうに解散するとは信じていなかったか、
信じたくなかったかのどちらかだった。

参議院本会議の採決直前に、小林興起氏は報道陣に囲まれてこう言った。
「大差で否決ですよ。大差になれば、首相も解散なんてできませんから」

しかし、首相は即刻、解散権の行使に出た。
そして、冒頭の意向を表した。

                    ※※

●孫子、呉王闔盧に美女の軍事演習を仕組まれる――の史話。

この、一連の流れでちょっと思い浮かんだ話がある。
直接関係するかどうか……、でも、通じるところがあると思うので紹介してみたい。
それは、中国の古典、「孫子」(そんし。兵法=軍事の指南書、2500年前に成立)の著者、
孫武(そんぶ)のエピソード。司馬遷の『史記』、「孫子呉起列伝(そんしごきれつでん)」に
登場するのだが、ほんのちょっと手を加えて(――内容を補いつつ)、私訳する。
(ちょっと長いんですね。スミマセン。^^;)

                    ◇◆

●笑いころげて命令に服さない寵妃――。それをながめて楽しむ闔盧。

孫武は兵法書をもって、呉の王である闔盧(こうりょ)に会った。
闔盧は孫武にこう言った。
「あなたの兵法十三篇を、私は全部読んだ。試しに演習を見せてもらえないか」
「よろしいです」と孫子。
「宮女たちで試してもらってもよいか」
「よろしいです」
闔盧は後宮の美女、百八十人を集める。
孫子は美女たちを2つの隊に分け、最も闔盧から寵愛を受けていた2人を
それぞれの隊長に命じ、全員に戟(ほこ)を持たせた。そして威儀を正し、
命令を発しはじめた。

「おまえたち、自分たちの胸と背中、左手、右手を知っているか」
「知っています」
美女たちは答えた。しかし、答えはばらばら……。孫武はかまわず続けた。
「それではよおく聞け。――私が前へ進めと命じたら自分たちの胸の方向に前進せよ。
左と命じたら左手の方に進め。右と命じたら右手の方に進め。
後ろと命じたら背中の方を向き、その方向に進め。わかったかッ!」
「はい」

命令を伝えおわると、王から斧(おの)や鐵(まさかり)を授けられた。
この斧や鐵は将軍の権力の証(あかし)であり、軍法を執行するための刑具でもある。
孫武は命令の内容を繰り返し説明したあと、演習を始めた。

太鼓を鳴らして、命令を発する。「右――ッ」。
しかし美女たちは袖で顔を覆い隠すようにして、けたけた、くくくっ、と笑うばかり。
美女たちの列は乱れ、固まってしまった。

●命令が不明であったのなら将軍の責任、わかって服さないのは隊長の責任――。

「説明が不充分で、命令がはっきりしなかったとしたら、将軍たる私のせいだ」
孫武はそう言い、さらに命令の内容を繰り返し繰り返し、丁寧に説明した。
そして、「左ッ」と太鼓を鳴らしたのだが……、美女たちはまたも笑い出した。

「最初、おまえたちへの命令がはっきりせず、理解してもらえなかったのは、
将軍である私の責任だった。しかし、おまえたちには命令の内容を、
繰り返し繰り返し説明した。おまえたちに命令が理解できぬはずがない。
命令がすでに行き渡っているのに、その命令に従わず、
何もやれないというのは、もはやおまえたちの責任。
何よりも2人の隊長の責任である。よって軍紀、軍法に従って、
両隊の隊長を処罰する。引っ立てよッ」

●王の助命を顧みず、2人の首を刎ねる。――軍法に情けなし。

孫武はそう言い放ち、供の武将に2人の隊長――、呉王闔盧の
2人の寵妃の首を斬り落とすよう命じた。

闔盧は高台の上から演習を見物していたが、事態に驚き、急いで使者を走らせた。
「あなたに心服した。私にはこの2人がいないと、
食事も喉を通らない。殺してはならぬ」

「王は私に軍事演習の指揮をお命じになり、私は将軍となりました。
軍中にいるかぎり、主君の命令といえども、受け入れられないことがあります。
軍法に情けはありません。それを今さら斬るなとは何ごとですか」

言い終わるや否や、孫武は2人の隊長の首を刎(は)ねさせた。
そして何事もなかったように、両隊の前列にいる妃を、代わりの隊長に任命した。

●威令が行き渡り、粛然と動く美女たちの軍団――。青ざめた闔盧。

再び太鼓を鳴らした。美女たちは粛然として命令どおりに前後左右を向き、
きちんと立ったり座ったりし、隊列を乱すことなく前進、後退をした。

孫武は呉王のもとへ使者を遣わした。
「兵士はすっかり訓練されました。どうぞお降りいただき、ご検分ください。
この兵士たちは王のお心のままに動き、火の中、水の中であっても恐れはしないでしょう」

呉王闔盧は青ざめつつも、孫武の才を認めないわけにはいかなかった。
闔盧はあわてて高台から降り、孫武を呉国の将軍に迎えるための礼をとった。

                    ◇◆

●呉王は孫子をからかおうとし、美女たちは見くびった。

上記、エピソードは、今回の郵政政局にピタリと重なりはしない。
しかし、なぜか、この話がよぎった。

呉王闔盧は孫武を少しからかおうとしたのかもしれない。
後宮の美女たち、とくに寵妃の2人も、呉王の寵愛に高をくくり、
孫武を少し見くびってしまった。その他の美女たちは、この2人につられ、ふざけた。

孫武はいったんはへりくだったが、それで改まることがないと見切ったとたん、
顔付きを一変、軍紀をたてに2人の首を刎ねた。――王の制止を顧みることもなく。

しかしその後、美女たちは粛然として命に服すようになり、
たちまちにして精強な部隊に生まれ変わった。

                    ※※

●解散しなければ、首相の首が刎ねられていた。

今回の郵政政局では、コイズミ首相の政治手法を疑問視する声も少なくない。
今日、テレビで見た世論調査の結果でも、そのような反応が分析されていた。

しかし、もし……、と考えてみる。
もし、コイズミ首相が参院本会議で否決されたあと、
解散権を行使しなかったとしたら、どうなっていたか。

反対派の増長は頂点に達し、首相をあざけり、
政権は崩壊の危機に瀕することになったに違いない。
いかに、改革路線の継続を唱えようとも、与党もコントロールできなければ、
世論の信用も地に落ちたに違いない。

首相は、だから解散権の行使に踏み切る以外になかった。

                    ※※

●対立候補を立てなければ、あざけられるだけだった。

さらに、もし、首相が解散権を行使したとしても、
反対派への責任追及をあいまいにしていたとしたらどうか。
それでも、結果はまったく同じで、反対派は増長し、
それこそ、総選挙を通して「倒閣運動」に走りはじめたのではないか。

首相は2人の美女の首を躊躇もなく刎ねた孫武のごとく、
反対派を公認せず、しかも、対立候補を擁立せざるを得なかった。

そうしなければ、その瞬間に、首相は首相としての力、パワーを、
事実上、失っていた。――逆に首相の首が刎ねられることに直結した。

                    ※※

●郵政解散が問う、政治の「場」のありよう。

選挙で問われるのは、郵政民営化の是非がすべてではない――とする議論がある。
すなわち財政再建もあれば外交もある、社会保障改革もあれば、
年金問題もある、というふうに。もっともらしい議論に聞こえる。

しかしコイズミ政権からすれば、郵政民営化法案の成立は、たぶん、
政権運営のすべて、政策のすべてを貫く思想のようなもの。
政治のシステムの根幹、根源に手をつっこみ、
政治の「場」のつくりかえを狙っているのだろう。

また外交について、内政とは別の問題としてとらえる意見がある。
しかし、いかなる外交政策も、内政、ひいては国の形、基盤がしっかりしていなければ、
成り立ちようがないのは自明のこと。――したがって、
選挙において郵政民営化問題を中心の争点とするのは、
少なくとも、コイズミ政権の論理からすれば、不自然でもなんでもないということになる。

                    ※※

●対立候補が当選するかどうかこそが問題。……先は、いまだ見えず。

コイズミ首相のねらい通り、報道や世論の関心は、
とりあえず、概ね「郵政民営化問題」に集まっているように見える……。
ただ、個々の選挙区を見れば見るほど、反対派の議員の基盤は、
けっこう分厚なものがあり、急仕立ての公認候補が勝利するのは、
どこも簡単には見えない。

仮に、選挙後に自民党公認と公明党で過半数を維持することができるとしても、
反対派にぶつけた候補者の勝率がひどい場合には、威信を保つのは難しい。
また、さまざま言われているとおり、共倒れになって民主党候補を勝たせてしまい、
その結果、「漁夫の利政権」が誕生する可能性も、まったくないとは言い切れない。

選挙期間中に、世論の関心がどんどん変化していくことだってあり得る。
選挙はやってみなければわからない――というのは、やはり真実。


それでも首相、コイズミは、選挙に賭けるべくして賭けてしまった。
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by yodaway2 | 2005-08-15 00:08 | 風雲急!政局と選挙